ノートPC 売れ筋は「質実剛健」、華麗なAV機能より「手堅く、安く」

特集

2004/12/21 23:44



 今期の秋・冬モデルとしてメーカー各社が投入してきたノートPCのキャッチフレーズは、“TV視聴&録画機能の徹底強化”だ。液晶テレビなみのサイズとクオリティをもつ高輝度液晶、ハードウェアエンコーダの搭載、光学ドライブのマルチドライブ化など、いわゆる“テレパソノート”的な付加機能がセールスポイント。メーカーの思惑としては、従来のビジネス用途向けといったノートPCのニーズを、エンタテインメントの領域まで拡大したいとする狙いが見てとれる。

 しかし、こうしたメーカーサイドの思惑と、ユーザーの評価には、予想外に大きなギャップがありそうだ。「BCNランキング」で売れ筋ベスト10を眺めてみると、華麗な付加機能よりも基本機能に徹した手頃な価格に人気が集まる傾向がみえてくる(表)


 販売台数で目下トップのNEC LaVie Lシリーズ「LL750/AD」。TVチューナーやハードウェアエンコーダは搭載されておらず、どちらかといえば従来の実用タイプのスペックが強化されている機種だ。第2位の富士通「FMVNB50J」にしても、A4サイズの標準的なマシンであるBIBLO NBシリーズのベーシックモデルのなかでも下位機種に当たる。第3位はNECのLaVie Lシリーズ「LL350/AD」。CPUにAthlon XP-M 2400+を採用し、液晶のサイズも14.1型(XGA)と非常に堅実なスペック。こうした条件を反映して、手頃な価格設定であることがセールスにつながっているようだ。以下、4位以降は東芝「dynabook AX/3527CMS」、NEC「LL900/AD」などの機種が上位に並んでいる。

 各機種ともそれぞれに特徴を備えているが、実際に“売れ筋”として上がってくるマシンの傾向は、A4サイズで価格も16万円前後のきわめてベーシックなノートPC。メーカーサイドが力を入れて投入した、ハイスペック&TV機能強化の大型ハイエンド機は上位に入ってこない。年末商戦のノートPCの動きを見る限り、メーカー側の思惑は見事に外れ、従来の標準的なサイズとスペック、そして、これに似合う値ごろな価格帯のノートPCが売れているということだ。

 一般ユーザーにとってノートPCの使用目的は相変わらず、インターネットとメール、オフィス系ソフトがメインということだろう。こうした自分の用途を見極めたうえで、コストパフォーマンスの良いマシンを選ぶというのが、購入基準の定番となっているようだ。