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「お客さんの『美味しかった』が儲け」デカ盛りの聖地『喫茶Y』

グルメ

2023/11/17 07:00

全国的にも有名な「喫茶Y」。大阪の豊崎で47年もの間、人の胃袋を破壊するほどのデカ盛り料理を提供し続けている。

よく知られているのがハーフサンドイッチ。座布団のようなオムレツにハム10枚とレタスをわしわし挟み、厚さ5cmほどのトーストでサンド。

日替わりのおかずや粕汁も付いたりする。「足らんかったらトースト焼くで」…って、足らんワケないやろ。
 
ハーフサンドイッチ1000円。卵は8個ほど使用

「美味しかった」言うてくれたら、それが儲け

ランチのY定食(1000円)は、カレーや肉じゃがやハンバーグや唐揚げなどメイン級のおかずが10皿ほど。これも「お替わりあんで~」と全皿ワンコそば状態。隣の席のそぼろ丼美味しそう…とかうっかり言うと、「あげるか~?」と出てくるので、ご注意を。

ママの貴島千里さんは、とにかくよく喋りよく笑う。「儲からないです。でもお客さんが喜んでくれるからやってんねん。ああ美味しかったって言うてくれたら、『儲かったなあ』って思うねん。楽しく食べて元気になってくれたらそれでええの」。鹿児島出身だが、完膚なきまでの大阪のオカン。世話好きで面倒見が良い。だからこそNO!もはっきり言う。
 

卵もパンも「信頼できるものをお客さんにも出すねん」

サンドイッチは衛生上持ち帰りNG。
食べ切れる量でオーダーしましょう

ハーフサンドイッチで使っている卵は「がんこ村」という高級品。1個の値段を聞いて、これは採算が取れないだろうと驚愕した。

少し前まで1個から10個まで選ぶことができた。それが最近、マックス7個までのルールに変わった。「卵、高騰してますからねえ」と言うと「それだけじゃないねん。10個で頼んで、SNSの写真だけ撮って、平気で残して帰る人おんねん」。

卵だけではなく、ハムもちゃんと美味しいものを選び、マヨネーズも同じ卵で作った高級マヨ。パンに至っては、パン好きの間で知られる大阪・九条の「三景屋」から取り寄せる。
「店で出すから安い材料、ちゃうねん。おばちゃんがおうちで使って、信頼できるものをお客さんにも出すねん」。コーヒーのシロップはグラニュー糖を炊いて手作りし、ヨーグルトもホームメイド。豚肉も本みりんも醤油も家で使っているものだ。
 
オマケで付くスパサラも鶏手羽煮も、もちろん手作り

コーヒーはお代わり自由。ただし…

さらに、11時まではドリンクがお替わり自由で、ハンドドリップで淹れたコーヒーも飲み放題。しかし、お替わりしてほとんど飲まずに帰る人がいるという。

「1杯目で残すならいいねん。口に合わなかったってことやから。3杯も4杯もお替わりして、最後ほとんど残すのはアカン。だから『あんた!自分でお替わりしたんやから全部飲みぃ!』って言ったんねん。そうするとハーイ、って飲まはるけど、そんなこと教えてくれる人は最近少ないやろうからね。他の店に行った時にもうしなくなるやろ」。
 
喫茶店なのに他店のカップを使用している、
こだわりのなさもまた良い

店内にいるお客を大事に

「居心地の良さ」も大切にしている。

行列ができる人気店だから、冬や夏は外ではなく店内で待ちたいと要望する人も多いという。だがそれは絶対しない。「後ろで待たれてたら急かされるみたいやろ。店の外にいる人より、いま店内にいるお客さんが気持ちよく過ごせることが大事。

怒って帰らはるお客さんもいるけど、その人は縁がなかったってこと。だいたい、お客さんが来ても来なくてもうちは儲けないねん。わはは」
 
おにぎりもデカい(この日は小さめ)。
購入したらおかずが付いてきた…

「喫茶Y」
大阪府大阪市北区豊崎1-3-1 丸善レヂデンス豊崎1F

※こちらの記事は、関西の食のwebマガジン「あまから手帖Online」がお届けしています。
あまから手帖Online=https://www.amakaratecho.jp/