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たぶん大阪一詳しい!不思議な二毛作『おばちゃんとこ』『せがれんとこ』の攻略法

グルメ

2023/08/18 08:05

 大阪・天神橋筋商店街2丁目の、怪しい路地に点る看板。魔界に続きそうな闇の奥に浮かぶのは、『おばちゃんとこ』の文字と、ちょい不気味なおばちゃんの絵。

昼間でも薄暗く、一見客は入るのをためらってしまう。

こわごわ路地を進み、赤い扉を開けるとそこには年季の入った壁のメニュー、コの字型のカウンター。多分この人がおばちゃんなんだろうなという女性と、息子らしき男性が厨房で腕を振るっている。

野菜ラーメンセットなるものを頼むと、鶏だしがしっかり効いたスープにモヤシや白菜がモリモリの一杯がやってきた。某超有名チェーンラーメン店の“こってり”を薄めた感じで、ほんのり豚骨風味。「ウチはあっさり系」と言うが、十分濃厚だ。旨い。ライスと生卵が付いてきた。
 
炒飯おにぎり280円。
ラーメンとのセットもある。

隣の客が食べている黄色いオムライスみたいの、なんだあれ。聞くと「炒飯おにぎり」だそうで、それ旨そうやないかーい。次頼もう。

別の日の夜に訪れた。「炒飯おにぎり!」というと「ないねん」。そうなのだ、「炒飯おにぎり」は昼限定のメニュー。なんでも、ランチ時は戦争のような忙しさのため炒め物ができず、朝大量に作っておいた炒飯を型抜きして玉子焼きで包んで提供するらしい。代わりに、昼にはない普通の炒飯があるからそれで手を打った。夜は余裕があるから、炒飯も焼きそばも野菜炒めもできるそうだ。
 
 ラーメン丼1000円。
スープはとろみのある餡かけタイプ。 
 
スープの底から天津飯が出てきた。

さらに、「ラーメン丼」という謎のメニューもある。なんとラーメンの底にライス、その上に玉子焼き、その上に麺をスープが覆うという強烈な炭水化物モンスターである。
 
せがれのしゅうまい3個480円。
鶏軟骨や豚のミンチがぎっしり。

土曜の昼に行ってみた。なんと入り口の看板が『せがれんとこ』になっている。その通り、息子が間借りでやっているらしい。メニューを見てみるが、『おばちゃんとこ』と大して変わらない。でも「炒飯おにぎり」がない。だが「せがれのしゅうまい」が登場している。
 
チャーシューエッグ750円はいい酒のアテ。
昼も夜もある。

つまり、おばちゃんこと村上佳津紀さんが『おばちゃんとこ』を、息子の洋平さんが『せがれんとこ』を切り盛りする親子二毛作の店である。1964年に先代おばちゃんが開いた店を息子・純さんの嫁の佳津紀さんが継ぎ、2019年に洋平さんが『せがれんとこ』を開いた。最初は『おばちゃんとこ』と『せがれんとこ』はメニューが全く別だったが、佳津紀さんの夫の純さんがワケあって店に出なくなり、“おばちゃん”と“せがれ”のメニューが統一された。
 
入り口にメニューが立ちはだかっているので熟読しよう。
 

とはいえ、「“おばちゃん”にはあって“せがれ”にはないメニュー」やその逆も存在する。間違い探しのように微妙過ぎる差異なので、はっきり言って慣れない客は混乱する。しかもどの時間帯も“おばちゃん”も“せがれ”も厨房に立っているため、ますます今自分がどっちんとこにいるのか分からなくなる。なので、ここで情報を整理しようと思う。
 

『おばちゃんとこ』昼

月~水・金の昼。定食メニューは多いが、単品のラーメンが少ない。「炒飯おにぎり」がある。炒め物はできない。「せがれのしゅうまい」はない。
 

『おばちゃんとこ』夜

月~水・金の夜。定食メニューが減る。炒飯や野菜炒めなど炒め物ができる。ラーメン丼、「せがれのしゅうまい」もある。「炒飯おにぎり」はない。
 

『せがれんとこ』

土曜昼のみ。定食メニューも炒め物も豊富で、一番いろいろ食べられるのがこの時間。「せがれのしゅうまい」も「ラーメン丼」もあり、限定の煮卵もある。「炒飯おにぎり」だけがない。

某口コミ投稿サイトにも“せがれ”が“おばちゃん”として投稿されていたりと、錯綜しているので、この記事を参考に訪れて欲しい。

関西の食雑誌「あまから手帖」の9月号にも、店の歴史や、せがれの煮卵、夫の純さんが店に出なくなった理由などについて詳しく書かれている。

『おばちゃんとこ』
住所/大阪府大阪市北区天神橋2-北-2-23
営業時間/月~金曜11:00~13:45(LO)、17:30~21:00(LO)
定休日/木曜
※『せがれんとこ』は土曜11:30~15:30(LO)

※こちらの記事は、関西の食のwebマガジン「あまから手帖Online」がお届けしています。
https://www.amakaratecho.jp/