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円安は暮らしにどう影響する? 手元の資産を守るインフレ対策3選

暮らし

2022/12/01 18:30

 「32年ぶりの円安水準」といわれている中、円安の影響で物価上昇率は高止まりする傾向にある。円安がもたらす生活への影響については、食品が今年に入ってから値上げ実施済みと値上げ予定を合わせると、累計で約2万品目、平均値上げ率が14%にのぼるといわれている(帝国データバンク調査)。日本の食料自給率はカロリーベースで約38%。現在の円安水準が続くと、外食も含め、さらに食費のコストがじわじわ高くなり、家計の負担が増えていくことになる。

ドル円相場は一時150円に

 また、これからの季節、使用量が増える電気代の値上げも心配だ。燃料費の高騰により、今後さらに電気料金の上昇が想定されている。政府は負担軽減のため、総合経済対策を講じるとのことだが、根本的な問題を解決するには時間がかかりそうだ。

お金の価値が下がるインフレ到来

 円安により輸入材料の値段が上がり、今のようにさまざまなモノの値段が上がる状態をインフレという。現在の日本のインフレ率は2%程度で他国に比べると低いものの、これまで長きにわたりデフレの状態にあった日本ではインフレの免疫がない。

 インフレを抑えるために各国は、政策金利を上げる方向に舵を取っているが、日本はまだインフレを抑制するフェーズではなく、景気を支えるための緩和を続ける方針のようだ。その金利の差が、ドル円の為替相場を円安の傾向へ向かわせており、今後しばらく続いていくと予想されている。

 インフレ率2%が長期的に続いていくと、今100万円払えば買えていたものが、10年後には122万円払わないと買えない、とそれなりにインパクトがある。日本では、現在の普通預金の金利が2%に遠く及ばない0.001%で、キャッシュを普通預金にそのまま突っ込んでいるというのは、特に注意が必要だ。キャッシュ以外にも資産を持ち、インフレ対策を施すことが望ましい。

インフレへの備えおすすめ3選

 そこで、インフレに備えるためのおすすめを紹介したい。

長期積立分散投資

 まずは「つみたてNISA」やiDeCoの非課税制度。余剰資金は自身が許せるリスクの範囲で、投資先、時間を分散させて、コツコツ投資に回して手堅く資産を増やすことをおすすめしたい。

 投資未経験者の中には、投資をギャンブルのように捉えているほか、「やってみたいがどうしたら良いのか分からない」というケースもある。マクロ的な世界の経済成長の果実を享受している長期積立分散投資の仕組みを一度しっかり理解できれば、自分のお金を投資に回しても良いかどうか判断ができるようになる。

米国債の高い利回りを享受する(債券型投資)

 今年の年始に米国債を購入した場合の利回りは約1.5%だったが、現在は4%程度と非常に高まっている。為替相場の変動には注意が必要だが、元本1000万円を4%で運用すると、10年で1.5倍近くに増える計算(税引き前)になる。

 10年後、運用に回した資金がいくらに増えているのか、着地が分からない株式への投資とあわせて、債券型投資を取り入れることで、リスク分散にもつながる。

為替変動リスクを取りたくない方には、私募債という選択肢も

 ある程度の資産と投資経験のある場合には、企業が投資家を限定して発行する私募債を新しい選択肢として一度検討してみるのもいいだろう。国内の資金調達に積極的な、主にこれからの成長が見込まれる若い企業へ投資となるため、公募債よりも比較的高い利回りの債券が発行される傾向がある。

リスクを踏まえて家計の負担軽減へ

 投資にはそれぞれリスクがある。資産の状況、投資可能な期間などによりリスク許容度や適切な資産形成の方法も異なる。最終的な投資決定は自身で判断し、家計の負担を少しでも軽減してみてはいかがだろうか。(400F・金谷理恵)

■Profile
金谷理恵
損害保険会社、生命保険会社、証券も扱う生損保乗合代理店を経て、現在はオンライン相談サービス「お金の健康診断」を運営する400F専属のアドバイザーとして活動。趣味はワインとピアノ。アマチュアピアノサークルに所属しており、年に複数回ホールで演奏することもある。