【記者のひとこと】組み込みとクラウドの架け橋

コラム

2021/03/22 10:00

 ウインドリバーの「VxWorks」といえば、組み込みシステムの開発に携わる方々の間ではよく知られるリアルタイムOSです。そのウインドリバーが、新製品の「Wind River Studio」を発表しました。高い信頼性が要求される産業用途向けのソフトウェアプラットフォームで、OpenStackやKubernetesといったオープンソースのクラウド技術を採り入れています。

 組み込みとクラウドというと互いに遠い存在のようにも見えますが、同社がクラウドの世界に進出するのは、5Gやエッジコンピューティングの分野が今後急速に拡大するとの見立てがあるからです。

 高いリアルタイム性が要求される産業用途では、データを現場ですぐに処理するエッジコンピューティングのニーズが高まると見られていますが、エッジからクラウドやデータセンターに至るまで広く分散するIT基盤の全体を管理するとなると、クラウドネイティブな技術が最も有用です。

 ウインドリバーでは長年の培ったリアルタイムシステムのノウハウと、クラウド技術を融合させることで、5G時代のITインフラを支える存在になろうとしています。同社の中田知佐社長は、「(ウインドリバーは)組み込みOSの企業から、インテリジェントプラットフォーム企業へと進化した」と話し、組み込みとクラウドの架け橋となっていく姿勢を示しています。(日高 彰)

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ウインドリバー 5G向けのクラウド基盤を提供 組み込みOSから事業領域を拡大