未知の問題や、一度に全容を把握できない大きな規模の課題に取り組む場合、どのような手法をとるべきか。こんなとき、業界には「KKD法」と呼ばれる、古くから伝わる秘策があります。何のことはない、KKDとは勘(K)・経験(K)・度胸(D)の意味で、理論的・科学的な根拠があるわけではないが、「過去の経験に照らし合わせれば、きっとこのくらいが適当だろう」と思い切って決めてしてしまうことを指しています。

 ポジティブな意味で使われることは少ない「KKD」というキーワードですが、まったくの「あてずっぽう」とも少し違っていて、確かに経験豊富なベテラン職人のKKDはけっこう当たるものです。今「AI」と呼ばれている技術は、アルゴリズムで答えをはじき出すという点では科学的ですが、過去に発生したデータをもとに新たな知見を導くという点では、KKD法の延長とみることもできます。

 AIを駆使したベンチャー企業に投資を全力集中させているソフトバンクグループの孫正義社長は、「まだまだ人間のほうがAIの推論よりも当たる場面が多い。しかし、これから5年後、10年後には、AIの予見のほうがはるかに当たるという時代がやってくる」と話します。AIは、一人のベテランが経験するよりも圧倒的に多くのデータを学習できることから、人間のKKDを超越できるとの見方です。(日高彰)

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