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主要家電量販店の初任給を比較 ほぼ横並びだが、実際は大きな差?

特集

2017/03/17 17:00

【不定期連載・家電量販店白書】 少子高齢化のため、労働人口の減少が避けられないなか、改めて「働く」意義が問われている。連載第2回となる今回は、主要家電量販店の初任給や福利厚生制度を比較する。

平均より多い? 少ない? 誰もが気になる平均給与

 さまざまな業界の動向やシェアを分析、研究しているWebサイト「業界動向サーチ」によると、2013年7月-14年6月決算をもとに算出した主要家電量販店15社の売上高の合計は約5兆6000億円、従業員の平均年収は443万円(平均年齢36.2歳・平均勤続年数10.7年)だった。

 こうした収入に関する統計調査では、分布に偏りがあるため、平均値ではなく中央値や最頻値を指標とするべきという指摘もあるが、今回は公開されている平均値に沿ってみていきたい。

 厚生労働省が2月に発表した「平成28年(2016年)賃金構造基本統計調査」によると、16年6月の平均賃金(時間外勤務手当、休日出勤手当などを含めない税込の給与額)は30万4000円(平均年齢42.2歳、平均勤続年数11.9年)、男性に限ると33万5200円(平均年齢43.0歳、平均勤続年数13.3年)、女性に限ると24万4600円(平均年齢40.7歳、平均勤続年数9.3年)で、賞与や残業手当などをプラスすると、男女あわせた平均年収は400万円台半ばと推測される。

 産業別にみると、家電量販店、ホームセンターなどを含む「卸売業・小売業」は、男性は全業種の平均より高く、全年齢の平均賃金は34万4800円(平均年齢42.3歳、平均勤続年数14.3年)。年代が高まるにつれて賃金は上昇し、45歳以上になると40万円を超えるが、50代前半をピークに、その後は下降する。一方、女性は平均を下回る23万2500円(平均年齢39.3歳、平均勤続年数9.6年)だった。
 

 小売業全体の就業者数のうち、家電大型専門店(家電量販店)の占める割合は1割強(詳しくは<3月7日掲載、小売業全体の1%強 「家電量販店」の実態わかる3つの数字>を参照)。比率としては少なく、参考値の域を出ないが、男性の賃金カーブや、男性より女性のほうが年収が低い傾向は同じだろう。

 懸念点は、いまの20代前半の若い世代が20年後、40代になった時に、現状と同じ水準まで給与が上がっているのか、確証が持てないことにある。従来のように、年齢に応じて昇給する保証がない現状、できるだけ新卒初任給の高い企業に就職したほうが安心だ。ライフプランニングに欠かせない、家計のキャッシュフロー表も作りやすい。

 そこで、当サイトと連動する業界紙『BCN RETAIL REVIEW』の巻頭インタビューコーナー「Key Person」に登場した家電量販店を中心とした主要12社について、新卒就職情報サイト上で公開されている新卒初任給(15年・16年の4月度実績)を比較したところ、「インターネット関連業」に分類されるアマゾン ジャパンを除き、各社ともほぼ横並びで19万~22万円だった。

 アマゾンだけは32万円と、飛び抜けて高いが、月給制ではなく、年俸制のためだ。12社の平均は21万5904円、アマゾンを除く11社では20万6441円。同じ実働8時間・シフト勤務の週休2日制でも、1か月あたりの休日数は7日~10日と差があり、1か月あたりの休日数が多いほど、時給は高いということになる。
 

 採用データとして、平均年齢や平均勤続年数、月平均所定外労働時間を公開している企業も多く、興味深いことに、かなりバラツキがあった。月平均所定外労働時間、いわゆる「残業時間」は、少ない企業では6.5時間や8.5時間、多い企業は20時間超、最大は40.1時間。勤務時間が長いほどハードワークになるが、実際の収入は多い。

 また、福利厚生に関する情報の一つとして、多くの企業は男女ごとの育休取得対象者数とその取得率を公開し、女性に限ると、どの企業も取得率はほぼ100%だった。女性に向けて「しっかり育児休業を取得できる職場」とアピールすることは、業種を問わず、大手企業の基本姿勢であり、家電量販店も例外ではない。

 さて、今春、就職活動する大学生・大学院生や、転職や再就職を希望する女性などに、家電量販店は、今後も発展する伸びしろのある、魅力のある業界に映るだろうか? 少なくとも数字上は標準的な水準で、決して「ブラック」ではない。強みは、将来を設計しやすい安定度と、すでに一定のブランド力のある馴染み深さだろう。

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