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【オムニ化する新春福袋商戦】年末・年始の「二毛作」や行列対策で工夫

特集

2017/01/30 11:00

 勤め人にとっては暦上の年末年始休暇が短かった影響で、旅行やレジャーを避けて近場のショッピングで済まそうと、新年第一弾の初売り商戦はおおむね好調との声が多く聞かれた。では、元旦から福袋狙いの顧客が店頭に殺到したかというと、必ずしもそうではない。福袋商戦にも、ウェブとリアルのオムニチャネル化の波が押し寄せていた。



■<WEB> 2年ぶり「福箱」で年末・年始の「二毛作」

クリスマス明けの前倒し販売

 「従来とはインターネット販売の福袋商戦が変わってきた」。ネット通販の「ECカレント」や「イーベスト」「特価COM」を展開するストリームの松井敏商品販売部長は、初売り商戦の変化をそう指摘する。これまでは元旦や年明けの1月初旬だけの商戦だった。しかし、最近ではインターネットで年内に福袋の予約受付をして完売してしまい、年が明けてから別途、初売りもするという「二毛作」が主流になっているという。
 

「福箱」はクリスマス明けの12月26日から予約受付開始。当日や翌日に完売する商品もあった

 実はストリームでは、2015年と16年の2年間、新年の福袋イベントを見送ってきた。在庫をまとめて安売りを前面にした企画コンセプトが、顧客ニーズとミスマッチを起こしていたからだ。だが、大手家電量販店などで売れている状況を見ながら、福袋イベントの再開に踏み切った。

 「バイヤー厳選 全10種」と銘打った「福箱」は、在庫処分的な色合いや価格志向をなくした。例えば、ブラーバと専用交換クロスをセットにした「床拭きロボット掃除機福箱」(税込3万円)や、女性向けの「目もとエステ・まつ毛カラー福箱」(同1万5000円)など、カテゴリやターゲットを明確にしたのだ。

 「企画する自分たちも楽しもうと、安売りではなく話題性の高い商品を積極的に取り上げた」と販売グループの甲斐篤史課長は語る。
 

ストリームの営業本部商品販売部の松井敏部長(右)と甲斐篤史販売グループ課長

 クリスマス明けの12月26日から、まずは会員向けメルマガで案内を開始。すると当日や翌日には「ビアサーバー・タンブラー福箱」(同5979円)や「目元エステ・まつ毛カラー福箱」が売り切れた。

 年明けは1月4日~31日の期間で、年に一度の「総決算SALE」を絡める形で展開。福袋イベントを再開したストリームの「二毛作」作戦は、狙い通りに見事に的中した。

■<家電量販店> 店売りで工夫、ネットは頭痛の種も

(1)抽選券の発行で長蛇の列解

 消初売り商戦のリアル店舗での対応はどうだったのだろうか。元旦の早朝から長い行列に並んでも、品切れで福袋が何も買えなかったら「骨折り損のくたびれ儲け」だ。こうした来店客の不満を解消するために、ビックカメラでは並ばなくても買える新手法を取り入れた。それがリストバンド式抽選券の発行である。
 

ビックカメラの福袋で採用したリストバンド式抽選券は顧客の満足度が高かった

 開店時に、訪れた顧客の腕に希望する福袋の抽選券(リストバンド)を巻く。巻いた抽選券は、他のビックカメラの店舗では使えない。破損した場合も無効になる。当選番号の発表は昼ごろに店頭で行われ、貼られた紙に自分の番号があれば購入できるという仕組みだ。

 福袋商戦は、先着順で販売する場合が多く、大晦日から並んで年越しを迎える顧客もいる。しかし、ビックカメラのような抽選方式であれば寒さに震えながら待つことはなく、誰にでも等しくチャンスが訪れる。福袋商戦を、顧客満足度の向上に結びつけた好例といえるだろう。

(2)SNSの「品評会」で利益圧迫

 「年々、福袋商戦が過熱して、正直、粗利益が厳しい」。家電量販店の幹部は、こう本音を漏らす。原因は二つある。まずはストリームの事例にもあるように、福袋と称しながら、中身のわかる福袋を顧客が求めていること。お得感があり、話題の商品が入った福袋に人気が集中し、逆に人気のない福袋は売れ残る。バイヤーの企画力が試されているともいえるが、当然ながら粗利益は厳しくなる。「なかには赤字の福袋もあり、何のために実施しているのか疑問になる商品もある」と前出の幹部は語る。

 もうひとつが、SNSなどによる「品評会」だ。購入後すぐに福袋の中身を確認する行為は昔からあった。店を出たところで、顧客同士が商品を交換しあう光景なども見られた。しかし、今では消費者自らが情報を発信できるSNSによって、福袋の中身が瞬時に不特定多数の人たちに拡散される。満足度の高い福袋は褒められるが、逆の場合はマイナスのイメージが広がる。「それなりの商品を入れなければならないのも利益を圧迫する要因だ」。昨年並みの利益を確保するために、数を追わなければならなくなる。年々、福袋のアイテム数が増えている背景には、こうした頭の痛い事情もある。

■<メーカー> メーカーの福袋も年内に前倒し

 メーカーでも直販サイトで「福袋」を積極的に活用している。ASUSは、公式オンラインショップ「ASUS ZenFone Shop」で、通常価格5万円相当の「ZenFone福袋2017」を先着00セットの数量限定で販売。3種類のセットのうち、どれが届くかは選べないが、SIMフリースマートフォンのZenFoneシリーズ本体が必ず入って送料込み2万9800円と、お得感のある価格設定で話題となった。
 

年内に予約を受けつけ、話題を集めた「ZenFone福袋2017」

 ニコンイメージングが運営する「ニコン ダイレクト」での福袋は毎年の恒例。スペシャルノベルティをつけ、双眼鏡・コンパクトデジカメの5000円~ 5万円コースから、デジタル一眼レフカメラの最高200万円コースまで多彩に取り揃えた。

 日本HPの直販サイト「HP Directplus」は、ノートPCはラッキーカラーとスペック、デスクトップPCはタイプで選べる「HPの福袋!2017」を展開。組み合わせによっては最大8万8000円安いこともあり、すべて完売した。ASUSや日本HPは、家電量販店同様に年内から予約を受け付け、前倒しで刈り取っている。また、家電ベンチャーのUPQは1月2日から「T-SITE SHOPPING 二子玉川 蔦屋家電」で、4Kディスプレイなど、中身を公開した福袋を販売した。
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2017年2月号から転載