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<電気シェーバーメーカー座談会・2016>理想の売り場とは? 課題と成功事例

特集

2016/12/26 18:00

 売り場とは、商品と顧客のタッチポイントとなる重要な場所だ。メーカーが考える理想の売り場や課題について語った。

理想の売り場とは? 課題と成功事例

リアル店舗の強みは「体感」 製販一体となった売り場づくりを

 「ユーザーへの訴求点」と同じく、争点となったのが「体感・体験できる売り場」だ。リアル店舗とECサイトの大きな違いは、商品を実際に見て、触って、そして体感できる点にある。
 

東急ハンズ渋谷店のメンズビューティーコーナー

 実機の手配や説明員の派遣が難しいなど課題は数多くある。個社ごとの対応では、この課題を解決することは難しいだろう。「メーカーと販売店が一体になって体感できる売り場づくりに取り組むべきでは」という声が数多く上がった。

 一方で個社ごとの対応で、体感できる売り場の成功事例も出ている。例えば、擬似ひげを用意したり、シェーバーのヘッドの動きが分かるようなギミックを使って顧客にわかりやすく、引きつける売り場づくりをしている事例である。

情報の氾濫を抑えるメッセージを絞った提案

 売り場では、各社複数のラインアップが並び、顧客が商品選びで迷っているシーンを見かけることがある。「このラインアップの多さと、商品機能や特徴などを発信するメッセージの多さを見直すべきでは」との意見もあった。

 細かく分類し顧客別に必要な機能と価格を設定することが、わずかしか変わらない機能や性能のラインアップ数を増やし、しかも、それぞれの商品ごとにメッセージを発信している。結果として売り場が情報過多になってしまい、「顧客に敬遠されてしまうのでは」と心配の声が上がった。
 

トラブル・携帯向けのポータブルシェーバーが人気だ

 「情報過多はメーカーの自己満足に過ぎないのではないか。今後は高価格帯商品に注力し、低~中価格帯商品についてはメッセージを絞り込んでいきたい」という意見も出た。
 

フィリプスの藤井氏

 店頭ではシリーズごとに壁紙の色を変えたり、POPなどで搭載する機能の違いを整理して伝えたりしているが、販売員への協力を求める声も上がった。「商品選びに迷っている顧客には、価格、使用シーン、求める使い勝手をヒアリングしながら、最適なモデルを提案できれば、顧客の満足度の向上につながるのでは」という指摘もあった。
 

ブラウンの藤井氏
 

地方と都市部 顧客層に合わせた売り場を

 地域特性に合わせた売り場づくりを提唱する声も上がった。現在は本部主導のもと、一環した売り場づくりを展開しているが、その地域ならではの特徴を反映した形で取り組んでみてはどうか。

 例えば、郊外型は年齢層が高く、売り場に情報を求めている人が多い。その場合は、販売員による丁寧な商品説明など接客が重要になる。一方、都市型は若い顧客が多く、欲しい商品の情報はある程度インターネットなどを使って自分で収集できる。すると、商品説明よりも見せ方を工夫した方が効果的だ。

 電気シェーバーは販売員の力量によって、顧客の商品に対する関心の度合いが変わる。販売員の提案スキルのアップにつながる、商品特徴だけではない勉強会の実施が今後の課題として上がった。
 
<電気シェーバーメーカー座談会・2016>
開催日:2016年11月28日
場所:BCN 22世紀アカデミールーム
参加メーカー:泉精器製作所(IZUMI)、パナソニック、フィリップス、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(ブラウン)(50音順)

・電気シェーバーメーカー座談会
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2017年1月号から転載