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<電気シェーバーメーカー座談会・2016>市場動向とユーザー意識の変化

特集

2016/12/26 18:00

 販売台数はやや停滞しているが、金額ベースで成長を続ける電気シェーバー市場。背景には「若い層へのシェーバーへの理解の深まりや、肌への優しさなどユーザーが求める機能の変化」があるという。

電気シェーバーの市場動向とユーザー意識の変化

価格帯と年齢層で二極化する消費傾向

 電気シェーバーでは、高価格帯の製品の購入は若い世代の顧客に見られ、逆に低価格帯の製品の購入は年配客に多いという。各社の調査によると、顧客が製品に対する理解を深めると、より機能が充実している2万円以上の高価格帯の製品を購入するケースが少なくない。そうした、こだわりを持つ顧客は若年層に多い。

 一方で、年配客は過去の電気シェーバーに対するイメージが強いのか、「シェーバーならどこでも同じと考える顧客が増えているのではないか」との分析もあった。また、多くの年配ユーザーは、一度使ったブランドと同じシリーズを購入し続ける傾向にあり、なかなかブランドをスイッチしない。若い層と年配層の二極化する消費傾向が電気シェーバーの特徴といえる。

 今後の顧客開拓については「まだシェーバーを購入したことのない顧客、つまり、これからのシェーバー市場を作っていく若い世代を取り込んでいくことが大切」として、各社はインターネットを使った販促アプローチにも注力している。
 

二極化する傾向にあわせ、プライベートブランドのフラグシップ商品を上段に、
下段にはポータブルまで幅広く揃えるなど、陳列も工夫する

拡大するネット市場 アプローチ方法を模索

 従来通り、リアル店舗での販売に力を入れるメーカーがある一方で、若い世代に焦点をあてた販促で有効な手段となるインターネットを重視するメーカーも増えているようだ。「ネットはレビュー重視で、ムービーや写真など製品がわかってもらえるように取り組んでいる」という。もっとも、若年層の中には「ネットで価格を比較してからリアル店舗で購入する」傾向も見られ、この場合、店舗でのクロージングが重要になってくる。

 さらにインターネットを使ったアプローチ方法の一つに、ターゲットを絞る手法を有力視。「若者が集まりやすいSNS」やいわゆる「オタク市場」など、電気シェーバーメーカーが攻めきれていない未開拓市場に狙いを定めてアプローチした結果、一定の成果を上げている事例もあった。

 オタク市場向け施策では、例えば、かわいらしい独自のキャラクターをつくりだして、それがオタクに受け入れられれば、ブランドに対する認知も高まり、製品の購入につながる流れが生まれている。アプローチするタイミングも重要で、電気シェーバー利用者の多いサラリーマンの通勤時間帯を狙って、SNSで告知するケースもある。
 

変わる使用シーン 剃刀からの転向も狙う

 製品の使用シーンも変化してきた。20代が風呂でシェービングする機会が増えてきたのは、コードレスで使うためのバッテリの持久力の向上がある。また、ドライシェービングからウェットシェービングへのシフトも、風呂で使うシーンが増える要因となった。ここには、風呂で剃刀を使っていた層を、電気シェーバーユーザーにスイッチできる可能性を秘めている。

 電気シェーバーを単にひげを剃るための道具とするのではなく、「周辺機器」であるグルーミング機器とミックスさせながら、利用シーン別に提案する販売手法は、年齢を問わず幅広い層に訴求できる有効な手段となりそうだ。
 
<電気シェーバーメーカー座談会・2016>
開催日:2016年11月28日
場所:BCN 22世紀アカデミールーム
参加メーカー:泉精器製作所(IZUMI)、パナソニック、フィリップス、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(ブラウン)(50音順)

・電気シェーバーメーカー座談会