前編に引き続き、アドビ システムズの佐分利ユージン社長に、小売業に対してどのようなマーケティングソリューションを展開していくのか聞いた。

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実店舗への来客促すマーケティングとは?

―― 成功するマーケティングの秘訣はどこにありますか?

佐分利 最も重要なのは個々人の顧客ごとにカスタマイズした情報を、ターゲットに的確なタイミングで伝えることです。Webサイトに訪れたユーザーの閲覧記録や購買記録、属性データなどを収集・分析すると、購買予測を立てることができます。そのデータを使って、一人一人に適した情報を送るのです。

 古典的なマーケティングでは、一人あたりに届く情報量が増えるだけで、スパムのように受け取られてしまいます。ターゲットとなる個人の特徴をいち早く理解し、購買行動をうまく予測し、さらには焦点を絞った情報・提案をしなければなりません。
 
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「リアルとデジタルはつながっている」と語るアドビの佐分利ユージン社長

 一般消費者の購買行動は常に変わります。2015年11月に実施した購買ルート調査では、日本は調査対象の27か国中、モバイル端末で購入する割合が最も高く、3割近くに達していました。すでに小売業界の一部は、モバイル専用のWebサイトを立ち上げたり、製品棚にQRコードを設置してレビュー記事をすぐに読めるようにしたりと、モバイルユーザーを取り組むためのアクションを起こしています。

 日本で特徴的なのは、宣伝・広告を見て、半分以上がお店に足を運ぶこと。そして、お店の中で、気になったことについて検索する。そういった面で、リアルとデジタルは対立関係ではなく、「&」でつながっていると思ます。今後はリアルとデジタルの融合が重要になってくるでしょう。

―― 最後に、これからの展望と小売業界へのメッセージをお願いします

佐分利 今の若い世代は生まれたときからデジタル製品が身近にあるので、この世代が購買の中心になると、確実に顧客のデジタルに対する姿勢は変わります。2020年の東京五輪は、デジタル化が最も進んだ国際的なスポーツの祭典になるでしょうから、今のうちからデジタルの手法を攻略し、展開できるようにしておかなければ、次世代の消費を取り込めません。

 また、デジタルになった瞬間に世界中のだれもがアクセスできるようになり、国境がなくなります。その時に多言語に対応するのか、アイコンをわかりやすくするのか、どういった手を打つかが大切です。日本には優れた気遣いと素晴らしいモノ作りの技術があり、これらを組み合わせることが自分のミッションであると考え、取り組んでいます。