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<ヘッドホン・イヤホンメーカー座談会・2016秋>新型iPhoneが変える視聴スタイル

特集

2016/11/28 11:00

 イヤホンジャックを廃止した新型iPhoneの登場に対し、各メーカーの関心は「ワイヤレス化が進むかどうか」に集まった。

■新型iPhoneが変える視聴スタイル

魅力の訴求で購入意欲の刺激を

 iPhoneによってワイヤレス市場が注目されるのは、今回が初めてではない。座談会では「2012年くらいにBluetoothで伸長の山があり、その時もiPhoneがきっかけだった」という声が出た。
 

Appleの「iPhone 7/7 Plus」。純正ワイヤレスイヤホン「AirPods」も同時に発表した

 しかし、Bluetooth製品のシェアはそれほど拡大せず、イヤホン市場では10%で止まっているという。
 

 ハードルになっているのが価格だ。出席者によると、イヤホンの平均単価は約3000円だが、Bluetooth製品は約1万円。倍以上の価格差が、ワイヤレスタイプの購入を踏みとどまらせているのだ。

 まだ大きく普及はしていないが、消費者の関心が高まっているのは事実。「e☆イヤホン」を展開するタイムマシンの岡田氏は「ワイヤレスに興味を持っている人は確実に増えている。前週比で1.5倍の売れ行きで伸びている」と話す。
 

e☆イヤホンの岡田氏

 ワイヤレスの魅力は、なんといってもコードの煩わしさから解放されること。利便性の高さをしっかり訴求すれば、価格は高くても、興味を持っている消費者の購入意欲を刺激することはできるだろう。
 

エレコムの遠藤氏
 

音質劣化は過去の話?

 ワイヤレスで視聴する際、多くの消費者が心配するのが音質の劣化だ。

 座談会では「ワイヤレスの音が悪いというお客様は根強く、そういった意見が減っているという実感はない」との意見が上がった一方、「音質の劣化は、ちょっと前までのほうがアレルギーが強かった。規格や技術の進化で、音質が向上していることへの認知は進んでいると思う」との声も。メーカー内でも意見が割れるということは、消費者の認知もまちまちとみていいだろう。

 音質劣化を過去の話として認識し、ワイヤレス製品を購入してもらうためには、まだ周知の余地はある。ワイヤレスの音質は上がっているので、この点をしっかり伝えることが必要だ。

接続方法の説明も重要

 Bluetooth製品を薦める上で、「接続方法の説明は重要」というのは、出席者の共通認識だった。

 ペアリング時に機器の操作が必要になることで「メカではなかったものがメカになり、特に女性にとってはハードルが上がる」との見方もある。

 新型iPhoneはメーカーのワイヤレス競争に拍車をかけた。出席者が「今後、ワイヤレス化に注力する」と語るように、店頭には、今以上に多くの製品が並ぶ可能性がある。

 消費者にBluetooth製品を使ってもらうには、手軽に接続できることをきちんと理解してもらうことが大切。操作方法を分かりやすく表示するなど、売り場づくりの工夫も必要だ。
 
<ヘッドホン・イヤホンメーカー座談会・2016秋>
開催日:2016年11月2日
場所:BCN 22世紀アカデミールーム
モデレーター:タイムマシン(e☆イヤホン)
参加メーカー:エレコム、JVCケンウッド、ソニーマーケティング、ディーアンドエムホールディングス、日立マクセル、ボーズ(50音順)


・ヘッドホン・イヤホンメーカー座談会
 
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年12月号から転載


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