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何でもネットにつながる時代、必要なセキュリティ対策とは?

特集

2015/05/26 11:06

 IoT(モノのインターネット)という言葉がいろんなところで聞かれるようになってきた。PCやスマートフォン(スマホ)、タブレットなど、インターネットのサービスを直接利用する機器だけでなく、テレビやレコーダー、ゲーム機などのデジタル家電、冷蔵庫や洗濯機、掃除機などのシロモノ家電まで、あらゆる家電製品がインターネットにつながる世界の姿を表現したものだ。そんな時代に向け、ニフティが新しいタイプのセキュリティサービス「常時安全セキュリティ24プラス」を開始した。これまでのセキュリティ対策とは全く異なるサービスだ。その概要を紹介しながら、なぜこうしたセキュリティ対策が必要なのかを考えてみたい。

大元で対策するので、家庭内でどんな機器をネットにつないでも安心



 現在の家庭でのインターネットセキュリティ対策としては、PCやタブレットなどの情報機器に対策ソフトを入れて対処するというのが一般的だ。しかし、この方法では、どんどん増えていくネット接続機器すべてに対策ソフトを入れていかなければならない上、例えばテレビやレコーダーといった、対策ソフトが存在しない製品に対しては対応のしようがないという大きな欠点がある。

「常時安全セキュリティ24プラス」のイメージ図

 そこでネットワークの大元にセキュリティシステムを入れて、家庭内でインターネットにつながるすべての製品を守ろうとするのが「常時安全セキュリティ24プラス」の考え方だ。例えば、これまでのセキュリティ対策が、水道の各蛇口に浄水器を付けるようなものだとすれば、「常時安全セキュリティ24プラス」は、家庭に水道管を引き込む前に浄水器を付けてしまおうというサービス。家庭に入る前に水が浄化されているので、家庭内では、どの蛇口をひねってもきれいな水が出てくる、というわけだ。

 実際の仕組みは、インターネットからのデータは一旦「@niftyセキュリティセンター」を経由し危険な要素を「浄化」する。そこから自宅までは「サービスアダプター」を使って安全なVPN(仮想専用線)回線で結ぶというものだ。インターネットを家庭に引き込む前にセキュリティが確保されているので、そこから先は、どんな機器をつないでも安心して利用できる。大元で一元的にセキュリティを守る「番人」を雇うようなものだから、効率的で網羅的に安心なネットワーク環境を作り上げることができる。税抜きの月額利用料は500円。

「サービスアダプター」。家庭ではネットの入り口にこれを設置するだけ

把握できているだけでも年間29億円もの「実害」が発生している



 「インターネットのセキュリティといっても、実際はたいした心配はいらないだろう」とタカをくくっている人がいるかもしれない。しかしその考えは改めたほうがいい。一昔前なら、コンピュータウイルスによってPC内のデータを破壊されないためにセキュリティソフトを入れていればよかった。そのころはまだ牧歌的な時代だった。いわば愉快犯が多く、データを消失するのは大きな痛手だが、それ以上の損害を被ることは希だった。

 しかし、そんな時代は終わった。特にここ2~3年の間に、日本におけるインターネット上での犯罪、特に銀行口座やクレジットカードを狙った金銭目的の犯罪は爆発的に増加しており、各金融機関も頻繁に注意を促すようになってきた。窃盗団のような犯罪組織が激増し、被害額も急激に増え始めている。警視庁の調べでは、2014年のインターネットバンキングに関わる不正送金の被害額は実に29億円あまり。13年が約14億円だったので、わずか1年で被害額は倍以上も増えており、さらにその増加傾向は続いている。把握できているだけでもこれだけの被害があるわけで、実際にはさらに大きな被害を受けていると考えるべきだろう。もはや、実際の問題として、被害を防ぐインターネットセキュリティが不可欠になっているのだ。

外出先のセキュリティはどう守る?



 家庭で「常時安全セキュリティ24プラス」を導入し、サービスアダプター経由でインターネットに接続している限り 、各機器は安全だ。しかし、モバイルPCやタブレット、スマホなどは外に持ち出すこともある。サービスには従来型のセキュリティソフトのライセンスが3台分も含まれているので、外出先での利用シーンが多い機器でも、クライアントソフトをインストールしておけば安心だ。

 近い将来のサービスとして、外出先からでも「@niftyセキュリティセンター」を経由してネットワークに接続し、ネットから入り込む危険な要素を「浄化」する仕組みを提供する予定だ。これが実現すれば、家庭でも外からでも同じように高レベルなセキュリティを様々な機器で実現することができる。また、こうした仕組みを応用して「ペアレンタルコントロール機能」の実現も可能だ。子どもが不適切なサイトを利用できないよう自由に設定できるサービスで、今後の提供を予定している。

 これから家庭内でもインターネットにつながる機器は増えていく。調査会社ガートナーの予測では、2020年には世界で260億台にものぼるIoT機器がネットにつながるようになるという。一方で犯罪の数も増えていく。そうした環境では、個々の機器だけでセキュリティ対策を施すのがきわめて困難になってくるだろう。「常時安全セキュリティ24プラス」のようなセキュリティ対策は、IoT時代の必須のサービスになってくるだろう。(道越一郎 BCNチーフ・エグゼクティブ・アナリスト)