台湾で、テレビチューナーボックスやテレビチューナーボード、ビデオキャプチャボードなどを手がけるアバーメディア・テクノロジーズ。グロバールでビジネスを展開し、日本ではアスクが販売代理店になっている、このアバーメディアがこだわっているのが「台湾製」だ。台湾の大手メーカーが自社工場をもたずに受託生産の専門企業に依頼するEMSを進めていたり、各国のメーカーが中国での生産を増やしているなかで、台湾に工場をもつのはなぜなのか。その理由を、台湾工場で探った。

「HCLV」をコンセプトに世界レベルのサービスを追求



 アバーメディアが台湾工場で掲げるビジョンは、「A World-Class HCLV Manufacturing Service Provider」。「HCLV」は「High Complex Low Volume」の略で、つまりは、世界レベルの多品種少量生産企業を目指しているということだ。蔡入偉工場長は、「台湾で最高の工場として名を上げたい」とアピールする。

蔡入偉工場長

 工場は、台北のベッドタウンである中和市の員山路に面したビルにある。延床面積約8670m2、従業員は社員287人を含む446人と、決して大規模な工場とはいえないが、蔡工場長はビジョンで掲げるように「少数精鋭でクオリティを重視している」という。

部材をセットする人員は極力少なくしている

 工場では、テレビチューナーボードやビデオキャプチャボードなどの自社製品を中心に、組み込みPCやサーバーなど受託した他社製品を製造している。なかでも他社にはない生産能力と品質を誇るのが、重要な電気部品の一つであるプリント基板だ。「一般的な製造機器の3倍の生産能力をもつ機器を導入した。これによって受託生産に柔軟に対応できるようになり、人件費を中心にコスト削減にもつながっている」と、蔡工場長は説明する。

プリント基板の製造は2ライン

 プリント基板は一般的には1ラインで製造するが、導入した機器は2ラインを組むことができる。最大で1日2万枚、1か月で50万枚の製造能力があるそうだ。投資額は1億台湾ドル(日本円で約2億7940万円)だったという。


プリント基板の製造風景

 品質へのこだわりを示しているのが、検査工程だ。完成したプリント基板は自動検査機器にかけられるが、検査基準を高く設定しているために、そのほとんどがはねられるという。


自動検査機器による検査

 機械検査ではねられた基板は、従業員が検査することになる。そのチェックにはかなりの時間をかけており、ときには20分程度かけて検査することもあるようだ。

人の目による入念な検査を実施している

 プリント基板の製造は発注書に従って進められ、日によって「テレビチューナーボード用」「組み込みPC用」と分けて製造する。機械や従業員による検査を終えたプリント基板は、それぞれ振り分けられて各製品が完成する。完成品は、従業員の手によって箱詰めされる。


テレビチューナーボードを箱詰めしている様子

 台湾に工場を置く意味を、蔡工場長は「品質を追求していくため」と断言する。多くの企業が中国に工場を構え、安く大量に生産してコスト削減を果たしている。しかし、品質を重視するのであれば、台湾に工場を構えたほうがいいと判断しているのだ。

 工場を運営する組織「製造營運單位」の下には、「製造處」と呼ばれる製造部門に加え、開発を担当する「工程處」がある。この工場で、開発から製造までを手がけているわけだ。蔡工場長は、「自社製品に関しては、開発部門と製造部門の連携によって、いち早く新製品を市場に出すことができる」と自信をみせる。

「COMPUTEX TAIPEI 2011」で新製品の品質の高さをアピール

 アバーメディアは、5月31日から6月4日まで台北で開催されたデジタル機器の総合展示会「COMPUTEX TAIPEI 2011」で、出力解像度が1080pと高画質を追求したHDキャプチャボードなどを披露。「台湾製=高品質」といったイメージを確立しようとしている。(BCN・佐相彰彦)


アンケートのご協力をお願いします