<コラム>サッカーW杯、4年前のドイツ大会では…

特集

2010/06/24 16:11

 北京五輪の時期には、英国に滞在していた。日本人選手の活躍ぶりを観ようと、ホテルのテレビのスイッチを入れた。ところが、スポーツ番組は、クリケットの試合ばかり。英国民の関心は五輪よりも国技に向いていたのだ。

 4年前のドイツW杯の際には現地にいた。日本対オーストラリアをピッチから7番目の席で観戦する機会を得た。日本チームが力尽きた時の敗北感は、ピッチに立つ選手に匹敵するほどの感覚であった。勝った国の人たちは街を埋め尽くし、歓喜に沸く。それを羨ましく眺めていたものだった。

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 欧州人の関心は、やはりサッカーが一番だ。五輪のテレビ観戦者は数十億人。一方、W杯は数百億人とケタ違いだ。世界スポーツ大会はデジタル家電業界にとって商機となるが、どちらに重きを置いてスポンサードなどを行うかは、各社の世界戦略にもよるだろう。

 北京五輪はパナソニックが、ドイツW杯は東芝がスポンサーについた。前者は製品の「世界同時立ち上げ」を掲げ、全世界での波及を期した。東芝は元々欧州に地盤があり、この地域の“特需”を期待した。

 今回の南アW杯では、岡田ジャパンが初戦を突破し、一気に盛り上がっている。スポンサーはソニーだ。かつて「ソニー・ショック」などといわれた時期とは、隔世の感があるほど同社の製品は面白いものが揃ってきた。いま、世界のデジタル家電は韓国勢に押されている。W杯をきっかけに世界展開を本物にしたい。(BCN・谷畑 良胤)

※本記事は、ITビジネス紙「週刊BCN」2010年6月21日付 Vol.1338より転載したものです。ITビジネス情報サイト「BCN Bizline」では、会員登録していただくと、「週刊BCN」掲載記事をほぼすべて無料でご覧いただけます。詳しくはこちら