エプソン販売(平野精一社長)とキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ、川崎正己社長)は5月27日、コンシューマ向けプリンタの販売店向け配送を6月から共同で行うと発表した。インクジェットプリンタでそれぞれ4割強のシェアを持つライバル関係にある両社だが、物流ではタッグを組んで効率化を図る。

 目的はCO2排出量の削減。両社が利用している日本通運(川合正矩社長)の同一車両に、それぞれのプリンタを積んで販売店向け共同配送する。CSR(企業の社会的責任)活動の一環で、6月1日に北海道札幌地区で開始するのを皮切りに、東北地区、首都圏、近畿圏、中部地区、九州地区に順次拡大。年間CO2排出量を両社合計約26%の削減を目指す。

 エプソン販売とキヤノンMJの配送コストは「両社の折半になる」(キヤノンMJの広報担当者)というが、エプソン販売の広報担当者は「コストダウンは、付随効果」とするなど、両社ともCSRが第一の目的であることを強調している。

 一方、「BCNランキング」でインクジェットプリンタ市場をみると、昨年、最大の需要期である12月の年末商戦で販売台数が前年を下回り、今年に入ってからも販売台数は前年割れが続いている。製造・物流コストの削減は急務で、こうした市場動向も背景にあるものとみられる。直近1年間(08年5月-09年4月)のインクジェットプリンタ販売台数シェアをみると、エプソンが44.5%、キヤノンが42.5%とほぼ互角。この両社が共通の目的で共同配送に取り組むという意義は大きい。


 共同配送をはじめるきっかけになったのは、プリンタメーカー6社が08年4月にはじめた「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」。リサイクルで協力関係を深めるなか、配送でも「何か一緒にできないか」と意見交換を続けてきた。08年12月に日本通運に共同配送の話を持ち掛けて検討を重ね、実現にこぎつけたという。



 共同配送は、配送先である販売店にとっても、荷受けの手間を省けるなど作業の効率化を図る効果も期待できる。そのため、キヤノンMJでは、今後はスキャナでも共同配送を行う可能性を示しており、今後もライバル同士の枠組みを超えた取り組みを推進していくという。また日本通運でも、今回のエプソン販売とキヤノンMJのほか、食料品や飲料メーカーでも同様の事例があるとしており、今後も積極的に共同配送への参加を提案していく方針だ。(BCN・田沢理恵)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。