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自転車から撮る爽快動画とは? 水中の魚も狙える小型ビデオカメラを試した

特集

2007/08/30 22:50

<strong>――夏休み特別企画:米Oregon Scientificのアクションカム「ATC-2K」</strong><br /> 動画共有サイト「YouTube」をはじめ、動画をインターネットに公開するサービスが人気だ。手持ちのビデオカメラで撮った映像をアップするだけでも面白いが、通常では撮影できないような、ちょっと変わった視点で撮影してみるのはいかがだろうか。自転車のハンドルやヘルメットに装着して撮影できる、米Oregon Scientificの小型防水ビデオカメラ「ATC-2K」を試した。

自転車の走行時やシュノーケリングなど、多彩なスポーツシーンで



 「ATC-2K」は、自転車やオートバイのハンドルやヘルメットに装着して、走行中の映像が撮影できる小型ビデオカメラ。水深3mまでの防水仕様なので、水に潜るダイビングやサーフィンのほか、スキーやスノーボードなど水しぶきや雪が降りかかるスポーツでも使用できる。さらに、大きさが直径40×長さ110mm、重さ120gと小型・軽量なので、ラジコンの飛行機に取り付ければ空中撮影にも使える。ユーザーの工夫次第で、撮影者そのものが動く映像が撮れる、お手軽ビデオカメラだ。8月10日に発売されたばかりで、実勢価格は1万8900円ほど。


 パッケージには、ビデオカメラ本体のほか、ハンドルに取り付ける際に使用するカメラグリップ、ヘルメットなどに巻きつけて固定するシリコンゴム製のストラップやヘルメットブリップ、ベルクロ製のストラップ(ショート/ロング)などがある。水中撮影時に、カメラ内部に水が侵入するのを防ぐオーリングとグリースも付属する。また、撮影した映像をテレビやPCに出力するのに使う、AVケーブルやUSBケーブルも揃っている。



撮影中は画角が確認できない 事前に試し撮りをするとイメージ通りに



 ビデオカメラは、ファインダーまたは液晶パネルで画角の確認をしながら撮影するのが一般的。しかし、ファインダーもディスプレイがない「ATC-2K」はそれができない。つまり、撮った後、テレビやPCに出力しなければ、どんな映像が映っているかが分からないのだ。それが面白いところでもある。

 製造元の米Oregon Scientificによると、レンズはパンフォーカスでおよそ1.5m-無限大の範囲でピントが合うよう設計されており、35ミリフィルムカメラ換算で80mmのレンズの画角に近いという。しかし、そうはいっても、通常は撮っている映像を見ながら撮影するので、うまく撮れるが心配になってしまう。イメージ通り撮影したい場合は、事前に試し撮りをするとよいだろう。

 本体の上部には液晶ディスプレイがあり、各種設定の確認はここで行う。画面の上部に表示するアイコンは画素数で、「640×480ピクセル」「320×240ピクセル」「160×120ピクセル」の3種類から選択できる。また、画面の右下に表示するアイコンはフレームレートで、「30フレーム/秒」「15フレーム/秒」の2種類から選べ、計6通りの画質がある。中央の数字は撮影できる時間。今回は、最も高画質の「640×480ピクセル」「30フレーム/秒」で撮影を行った。



ボタンはやや硬め 2GBのSDカードなら高画質で約1時間撮れる



 こうした画質の調節などを行うのが、液晶ディスプレイの後部に設けたボタンだ。中央が撮影ボタン、左がオン・オフと入力ボタン、右がメニューボタン。メニューは画素数、フレームレートのほか、最新動画の消去、全動画の消去、音声録音、日時の設定などが選択できる。初めて触った時はものすごく硬くて、どのくらい押せば反応するのか分からなかった。しかも、各種設定で使うボタンは撮影ボタンを除いて2つしかないので、操作するのに硬いボタンを何度も押さなければならず、少々手間取った。しかし、使っているうちに力加減を覚えたので、慣れれば大丈夫そうだ。

 外部メモリはSDカードで、本体後部のキャップを開けたところにスロットがある。画素数とフレームレートによって撮影時間は異なるが、2GBのSDカードの場合、「640×480ピクセル」「30フレーム/秒」でおよそ1時間撮影できる。このほか、32MBのメモリを内蔵している。メモリカードスロットと同じ面にテレビやPCと接続するインターフェイスを備え、乾電池もここに装着する。電源は単3形乾電池2個。



自転車と近い距離で風景が流れると、走行している雰囲気が出る



 さて、実際の撮影動画を見てみよう。まず、自転車で走行中の撮影に挑戦した。出発前に、元々付いていたベルを外してハンドルの右側にカメラを装着した。当初、自転車の前方に取り付けてあるカゴが一緒に映ってしまうと格好が悪いと思い、カゴを取り外す予定だった。しかし、結局カゴがうまく外れなかったのでそのままにし、カメラをやや上向きに設置した。

 撮影場所は、クルマをあまり気にせずに走れて、かつ映像になった時に綺麗な場所がいいと判断し、並木のある通りをいくつか選んで走行してみた。3時間ほどかけて自宅近くの並木道を6か所ほど走った。合計撮影時間はおよそ6分。その中で、比較的映りがよい、東京・神田川沿いの小道で撮った動画がこちらだ。【動画1:神田川沿いの小道を自転車で走った】




 撮影ボタンを押してからこぎ始めるので、走り始めの揺れ具合がそのまま映ってしまっていて少々見づらい。しかし、その後はゆるい右カーブを描いて両脇の木々が流れていき、イメージ通りに撮影できた。カメラを右ハンドルに装着しているため、道の真ん中を走ると右寄りの映像になってしまうので、やや左寄りを走った。また、道幅が狭く左右の低木と距離が近いので、周囲の風景が流れる感じがよく表れてくれた。

 ただ、自転車のハンドルに装着する撮影として、失敗したことが2つある。1つは音。出発前に取り外そうとしたカゴを留めているネジが緩んでしまったらしく、振動音がそのまま録音されてしまった。自転車でなくとも、オートバイなど乗り物に固定する場合は、その振動音が伝わってしまうので注意が必要だ。もう1つは、明るさ。並木道は木陰になっていることが多く、陰に入ってしまうと映像が暗くなってしまった。直射日光の明るさがちょうどよいくらいだったので、撮影は晴れた日が適切だろう。



水深が浅く、光が十分に届く範囲が最適 焦点距離にも注意



 次に、「ATC-2K」の防水仕様を生かして水中撮影に挑戦した。水中撮影の前には、付属するゴム製のオーリングにグリースを塗ってキャップの溝に装着する。キャップを閉める前にも再びオーリングの上から塗り、これで水が内部に侵入するのを防ぐ。撮影場所は、澄んだ水中を撮りたいことから、東京・青梅市の御岳渓谷にした。合計撮影時間はおよそ20分。その中で、小魚が泳ぐ姿をうまくキャッチできた動画がこちらだ。【動画2:御岳渓谷で泳ぐ魚の映像をキャッチ】



 まず、手ブレについて触れておきたい。自転車のハンドルに装着した時はカメラが完全に固定されていたので、撮影ボタンを押しても揺れは生じなかった。しかし、水中撮影では手持ちだったので、ボタンの操作時に映像が揺れてしまった。また、川には水の流れがあり、流れが強いところだとカメラを持つ手が水流によって動いてしまい、いい映像にはならなかった。川底の石に手を固定して撮影すると揺れが少々防げた。

 さらに注意したいのは、水の透明度と光の量。掲載した動画は水深が浅かったので、光が川底まで届いて明るい映像を撮影できたが、深いところだと水が濁ったり、光が届かず暗くなったりした。また、太陽が雲に隠れている状態でも光が弱く、映像が暗くなってしまった。

 自転車の際には気付かなかった、レンズに関する失敗もあった。なるべく近くで小魚を撮りたいと思ってみたものの、焦点距離が1.5m以降なので、実際に撮った映像では近すぎてピントがボケてしまった。しかし、小魚との距離が遠いと逆に小さすぎて見えなくなり、その兼ね合いが難しかった。しかし、水面から魚の動きを観察し、魚がカメラの前にきてくれるまでひたすら待って撮影する、という普段できないような撮り方ができたのは大変興味深かった。(BCN・井上真希子)