初めてデジタル一眼レフカメラを使う人にとって、まず、撮影の基本はカメラの正しい持ち方だ。カメラの構え方ひとつで、写真の出来映えは大きく異なる。いくら手ブレ補正機能を搭載しているとはいっても、間違った構え方をしてシャッターを切れば、美しい写真を撮ることはできない。そこで、これまでフィルムの一眼レフカメラは一度も手にしたことがない、ましてデジタル一眼レフなんてまったくの初心者!というあなたのために、「デジタル一眼レフの撮影スタイル?構え方編?」をお届けしよう。

 最初にお断りしておくが、以下の解説はすべて右利きの人を前提としている。すべてのカメラは右利きの人を想定して作られており、横位置に構えた時に、左手人差し指で押せる位置にシャッターボタンがあるというカメラを少なくとも筆者は見たことがない。だから、今回説明するカメラの構え方は右利き・左利き共通であると考えていただきたい。

顔とカメラの距離は限りなく近く!
 

 レンズを通ってきた光をファインダーのなかで見てシャッターを切るのが、一眼レフカメラだ。だから、「これでもか!」というくらいしっかりとファインダーのなかの光景を凝視しよう。そのために、カメラはしっかりと顔にくっつけること。カメラを頬に押しつけるくらいの感じにするくらいがちょうどいい。鼻とカメラが接することで、少なくともカメラを構えた時の安定度がぐっとアップする。




ファインダーの視度調節はしっかりと!

 視度調節も重要だ。ピント合わせはオートフォーカスまかせだとしても、間違いなく自分の狙った場所にちゃんとピントが合っているか、最終的には自分の目で確認しなければないらないからだ。

 最近のデジタル一眼レフは、初心者向け機種でもファインダーに視度調節機能が付いている機種が増えてきた。自分の視力に合わせて、ファインダーの見え具合を調節できるのが視度調節機能だ。一般的には、近視の場合はマイナス側へ、遠視の場合はプラス側へ調節する。

 視度調節を行う時のポイントは、ファインダー内のフォーカスエリアの枠線や表示される絞り値、シャッタースピードなどの数字が、もっともハッキリ見えるようにすること。適切な視度調節を行うことで、ファインダー像やファインダー内に表示される情報がしっかりと確認できるようになる。


カメラは左手一本で支えるべし!

 カメラを構える時は、両手でカメラボディの両端を持つのではなく、左手だけで、カメラボディを下から支えるようにして持つのが基本。具体的にはカメラの重心を、左手の手のひらの中央に置くようにする。そして、左手の親指と人指し指で、ズームリングやピントリングを操作できるようにする。



 大口径の望遠ズームレンズなどを装着すると、カメラの重心もレンズ寄りに移動することになる。その場合は、カメラボディではなく、レンズ部分を下から支える形で持つようにする。左手だけで支えた時に、カメラがぐらつかず、手のひらの上でバランスよくカメラが安定していることが大切だ。



右手はそっとカメラを包み込め!

 右手は、カメラを握りしめて支えるのではなく、カメラを包み込むように添える感じにする。シャッターボタンを押す時も、右手の人差し指だけに力を込めるのではなく、手のひら全体で絞り込むようにする。そうすることで、シャッターボタンを押し込む瞬間の手ブレを軽減することができる。



縦位置撮影ではカメラは片手で支えるべし!

 カメラを縦にして撮影する場合は、左右どちらかの手を使ってカメラを下から支えるようにする。縦位置撮影でも手のひらにカメラボディを乗せて、片手だけで支えるようにして構えるのは横位置での撮影と同じだ。



縦位置ではシャッターの押し方が2通りある

 縦位置でシャッターボタンを押す方法としては、横位置のときと同じように人差し指を使う方法と、カメラを支えている手の親指を使って押す方法とがある。

 人差し指でシャッターボタンを押す場合は、シャッターボタン側が上にくるようにしてカメラを縦位置に構える。そして、横位置の場合と同じように左手でカメラを支えて、右手は上から添えるような感じにする。レンズのズームリングやピントリングは、カメラを支える左手の指で操作する。

 一方、親指でシャッターボタンを押す場合は、シャッターボタン側が下にくるようにしてカメラを縦位置に構える。横位置のときとは逆で、カメラを支える手は右手になり、そのまま右手の親指でシャッターボタンを押す。レンズのズームリングやピントリングを操作するのは、左手の役目だ。


 シャッターボタンを押す指が変わると、ファインダーの位置も変わる。また、手の大きさや、使用するカメラの形状で異なってくるので、人差し指か親指か、自分が撮影しやすく疲れない方を確かめておいてほしい。

 ちなみに、手ブレが起きにくいと言われるのは、右手の親指でシャッターボタンを押す構え方。やっていけないのは、右手を下にし、右手の人差し指でシャッターボタンを押す構え方だ。この構え方ではカメラが安定しない。



脇は締めて、ひじを体に密着すべし!

 両脇が開きすぎると、カメラが安定しない。だから、脇は締めて、体とカメラが一体になるような感じで構えるようにすることが大切だ。


 カメラを支える方の腕は、できるだけ体に密着させる。横位置の構え方なら、ちょうど左ひじが心臓の上あたりに来るはずだ。そうすることで、カメラの重さが、手のひらから腕へ、腕からひじを通って下半身に分散される。カメラを支える腕と、肩幅に開いた両足とで、自分が三脚になったようなイメージで構えるのがポイントだ。これで、かなり安定したカメラの構え方ができる。



しゃがんだ位置ではひざで安定をとる

 しゃがんで撮る場合も、基本的なカメラの構え方は立って撮る場合と同じだ。ただし、両足を開いたまましゃがみ込むと、体が前後左右にふらついてしまい、安定しない。脇も開いてしまうので注意が必要だ。



 しゃがんで撮る場合は、片ひざを地面につき、両足先と片方のひざの3点で体を支持する。できれば、片方の足のひざから下を地面につけてしまえばしっかりと固定することができる。



 そして、立てているほうのひざに、カメラを支える腕を密着する。つまり、左ひじを、左ひざの上に乗せることで、しゃがんだ状態でも安定した構えができるわけだ。そして、しゃがんで撮るときも、自分の体で三脚をつくるようなイメージを忘れないことが大切。以上が、正しいカメラの構え方の基本だ。



手ブレを防げる限界は「レンズ焦点距離分の1秒」

 最後に覚えておいてほしいことがある。それは、どんなにしっかり構えたとしても、生身の人間が持つのだから必ず手ブレは起きてしまうということだ。

 一般的に手ブレを起こさずに撮影できる限界のシャッタースピードは、「使用するレンズの焦点距離分の1秒」と言われている。例えば、焦点距離が50mmのレンズを使って撮影するのなら、50の1秒のシャッタースピードが手ブレ限界ということになる。200mmのレンズの場合は、200分の1秒になる。

 シャッタースピードがこれより遅くなると、三脚を使わない限り、どう頑張っても手ブレが起きる。手持ちで200mmのレンズを使い、100分の1秒で撮影した場合、手ブレはほとんど防ぐことができないのだ。

 もちろん、カメラの手ブレ補正機能を使うことで、「使用するレンズの焦点距離分の1秒」よりも遅いシャッタースピードでも、手ブレを防止できる。しかし、優秀な手ブレ補正機能でも、いい加減な構え方で撮っていれば手ブレをすべて抑えることができるわけではない。

 まずは「使用するレンズの焦点距離分の1秒」までは、補正機能を使わなくても、手ブレを起こさずにしっかり撮影できることを目標に、今回の解説を参考してカメラの正しい構え方をしっかりと身に付けていただきたい。