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オーディオからぬいぐるみまで、おもちゃにもデジタル時代到来

特集

2006/08/24 22:31

<strong>――夏休み特別企画:大人も遊んで楽しめる!?最新ハイテク玩具あれこれ</strong><br />
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 年々進化するおもちゃ。最近では最新技術を駆使した大人顔負けの玩具が続々と出現している。そんな「デジタルおもちゃ」の最前線を、これから発売されるニューフェースを中心に紹介しよう。

――夏休み特別企画:大人も遊んで楽しめる!?最新ハイテク玩具あれこれ

 年々進化するおもちゃ。最近では最新技術を駆使した大人顔負けの玩具が続々と出現している。そんな「デジタルおもちゃ」の最前線を、これから発売されるニューフェースを中心に紹介しよう。

●実はiPod最大のライバル? 長い爪でも使える女子高生向け携帯オーディオ

 デジタルグッズで人気の携帯オーディオ。大人向けでは、アップルコンピュータのiPodが人気だが、子供向けでもiPodに負けない携帯オーディオが登場した。

 その1つが、タカラトミーが8月3日に発売した「Music Shower neo(ミュージックシャワーネオ)」。カラーはピンクとブルーで、価格は1万500円。サイズは幅48×奥行き21×高さ73mm。単4形乾電池1本で10時間稼動する。ターゲットは、ファッションやブランドに関心を持ち始めた“ちょっと背伸び”したい女子中高生だ。

 テレビやCD、MDプレーヤーのライン端子やイヤホン端子からパソコンを使わず直接音楽が録音可能。「操作が難しい」と思う女の子でも簡単に使えるようにしたのが特徴だ。開始と停止のタイミングを決めて録音できる「セレクト録音」機能も搭載。爪の長い女の子でも扱えるように、操作ボタンを本体から少し飛び出す程の厚みを持たせた。

 録音方式は、「ノーマルモード」と「ロングモード」の2つ。「ノーマルモード」は1曲あたり4分で30曲、120分、「ロングモード」では50曲、200分の録音ができる。楽曲はMP3、WMAファイルで保存。付属のUSBケーブルで録音した曲をパソコンに保存したり、パソコンの曲を本体に転送もできる。女の子向けとはいえ、機能は本格的だ。

 対象年齢である14-16歳の女の子は、自分らしさに特にこだわる世代。そこで、本体側面と背面を覆うスライド式の透明カバー、カバーに差し込んで外観を変える「きせかえシート」も付けた。シートは宝石調や水玉模様など4種類。


 タカラトミーでは「年ごろの女の子は、『いかにもおもちゃ』という商品は“ダサい!”と言って拒否反応を示す。だから、使いやすさを追求しつつ、本物感を出すと同時におしゃれに仕上げた」という。また、お気に入りの写真や雑誌の切り抜きをシートにしたり、カバーにラインストーンやシールを貼ってデコレーションして「自分らしさ」を出す使い方も提案している。


 セガトイズは、「サウンドキャリアneo(ネオ)」を9月9日に発売する。価格は8190円。対象は女子小学生で、こちらもCDやMDプレーヤーのライン端子などから直接録音できる。色はローズピンク、アクアブルー、スノーホワイトの3色。


 120分相当のステレオ録音が可能で、miniSDに保存もできる。「リズムゲーム」や「スロットゲーム」など、音楽を聴きながら遊べる7種類のゲームを内蔵した。本体デザインを変えられる着せ替えシートも付属する。電源は単4形乾電池1本で、連続10時間再生できる。

●SDカードを使った本格的なデジタルビデオカメラが登場

 セガトイズでは子供向けデジタルビデオカメラ「ムービーキャリア」も発売した。動画と写真の撮影が可能で、200万画素のCMOSセンサー、4倍のデジタルズーム機能、1.5インチのカラーTFT液晶ディスプレイを装備。カラーはブルーとピンク。


 記録媒体にはSDメモリカードを利用。付属する32MBのSDメモリカードに映像は約5分、写真は約300枚が記録できる。動画はAVI形式で保存。写真の解像度は2048×1536ピクセルの「超高」など、4つのモードから選べる。高額で本格的なビデオカメラには及ばないものの、大人も遊びで使えるほどの性能を備えている。

 この「ムービーキャリア」、男の子向け製品のように見えるが、実は対象は小学校1年生以上の女の子。「女優やキャスターに憧れる女の子にとって、カメラは身近で興味のある存在。また、コミュニケーションツールにもなっている」(セガトイズ)ことが理由だという。

 サイズは高さ68×幅85×奥行き40mm、重さは110gで、小さな女の子でも使いやすいようにコンパクトで軽量に仕上げた。電源はアルカリ単3形乾電池2本。価格は親が買い求めやすいように1万3440円に抑えた。

●ケータイにメールが送れる子供用パソコンも

 子供専用のパソコンもお目見えしている。エポック社が9月30日に発売する「スーパーテレビパソコンLink」は、漢字ワープロや学習ゲームなど6種類のソフトを内蔵。ソフトを使ってキーボード入力などのパソコンの操作を学ぶことができる。価格は1万3440円。


 本体をテレビにAVケーブルで接続して使用する。最大の特徴は、専用メールソフト「ペットケータイLink」を使い、赤外線通信で携帯電話にメールが送れる機能。対応するのはNTTドコモの赤外線通信機能搭載の携帯電話で、端末に専用ソフトをダウンロードすれば、「スーパーテレビパソコンLink」からメールを受信することができる。


 「スーパーテレビパソコンLink」同士でメールの送受信も可能。親が持つ携帯電話にメールを送り、その携帯電話から赤外線通信で別の「スーパーテレビパソコンLink」にメールを転送できる。

 文字入力では熟語での漢字変換が行え、常用・人名漢字を約2700字収録する。別売りで専用プリンタも用意しており、文字やイラストなどをプリントアウトすることも可能だ。

●乳幼児向けでは音響技術を使ったぬいぐるみが発売に

 乳幼児向けの玩具でもITが活躍する。コンビの「えらべるサウンドメリー」は、携帯電話を使って4000曲以上をダウンロードできる子守唄オルゴール。9月下旬発売で、価格は7980円。


 携帯電話で専用サイトから音楽をダウンロードし、赤外線通信でオルゴールに転送する仕組み。本体には4曲まで音楽を保存できる。「J-POP」や「アニメ」「童謡」「クラシック」など7ジャンルを揃える。母親用にハワイアンや沖縄の音楽なども用意した。「流行のJ-POPで赤ちゃんをあやしたい母親もいれば、クラシックで情操教育をしたい母親もいる。そうした需要に応えた」(コンビ)のが開発の狙いだという。

 曲の取り込みには、サミーネットワークスが開発した携帯電話の赤外線通信機能を使ったデータ転送システム「muPass(ミューパス)」を採用。携帯電話機は、赤外線通信機能を搭載し、muPassに対応するNTTドコモ、au(KDDI)、ボーダフォンの端末が利用できる。コンビでは、将来的には楽曲を7000曲以上に増やす予定だという。

 ITではないが、ちょっと変わった技術を使ったぬいぐるみも発売されている。それがタカラトミーの「赤ちゃんけろっとスイッチ」。ぐずった赤ちゃんの気分を切り替えるというメロディを内蔵したぬいぐるみだ。「ベビープー」と「ベビーミッキー」の2種類がある。


 メロディは、ディズニーの「イッツ・ア・スモールワールド」をベースに、「聞き取りやすい周波数」「楽器構成」「テンポの変化」「効果音」などを赤ん坊の聴覚特性と音への好奇心が結びつくように「音響技術」を使ってアレンジした曲を使用。前面右側のスイッチを2秒間押すと、オリジナルメロディが流れ出し、赤ちゃんを泣き止ませるという仕組みだ。

 曲は音声、音響の鑑定などを手がける日本音響研究所と共同開発した。ただし、空腹感やおむつが濡れているといった生理的な苦痛で泣いている場合は効果がないという。

 タカラトミーでは乳幼児を持つ母親にアンケートを行ったところ、赤ちゃんのぐずり泣きに困っている人が多いことが判明。そこで、母親のストレス軽減を狙って製品を開発した。今後はディズニーキャラクター以外のぬいぐるみでの展開やメロディを別のベビー用品で利用することも考えている。

 東宝グループの映画館、TOHOシネマズでは、製品の機能に注目。小さな子供を持つ親向けの映画上映で赤ん坊をなだめる機器として無料で貸し出す試験サービスを7月から始めた。六本木ヒルズと川崎の映画館で実施している。

 こうしたデジタルおもちゃ、店頭での売れ行きも好調のようだ。大手玩具販売店のキディランドでは、「デジタル技術で遊びの幅を広げたことで注目度や人気も高く、全体的に販売は伸びている」という。

 少子高齢化が進んだことで、玩具市場は低迷気味。そんな中、子供はもちろん、大人も楽しめる“デジタルおもちゃ”は、メーカーにとっては新規需要の掘り起こしの狙いもあり、今後もますます広がりそうだ。