<strong>――借りモノレビュー、リコー「Caplio R30」とコダック「EasyShare V570」</strong><br />
 コンパクトデジカメを選ぶ際に、「どれくらい望遠できるか」を気にかける人は多い。だが、スナップ写真を撮ることが多いなら、むしろどれくらい広角で撮れるかを気にしたほうがいい。仲間とのパーティー、お気に入りのインテリア、街角のショーウインドーなど、いざ撮ろうとすると画面に収まらず、広角レンズが必要になる場面は意外に多いものだ。そこで、広角に強いコンパクトデジカメ2機種を例にとり、「広角」カメラの効果的な使い方を紹介しよう。

●広角28mmで「世界が変わる」!?

 多くのコンパクトデジカメが、ズームの広角側は35mm前後(35mmフィルムカメラ換算。以下とくに注釈のない場合は同様)なのだが、これが28mmまであるとかなり使い勝手が違ってくる。部屋の中など限られた空間で、より広い範囲を写すことができるからだ。

 それだけではない。実は、28mmクラスの広角レンズがその真価を発揮するのは、むしろ、遠景よりも近景。カメラを構えてここでOKと思った位置から、さらにもう一歩、被写体に近づいてシャッターを切る。これが、広角28mmを楽しむためのコツだ。そうすると、遠近感が極端にデフォルメされて、肉眼では見ることのできない異世界を写真にできる。そんな広角撮影の面白さを知ると、コンパクトデジカメの撮影が2倍も3倍も楽しくなることうけあいだ。

 というわけで、広角に強いコンパクトデジカメの使い心地を試してみることにした。チョイスしたのは、手ごろな価格で28mmが使えるリコー「Caplio R30」と、広角撮影に独自のアプローチを仕掛けているコダック「EasyShare V570」。なお、これはあくまでややこだわりの強いカメラユーザーによる、かなり独断的な使用感であることをあらかじめご了解いただきたい。

●広角にマクロと斜め補正がある旅カメラとしておすすめの「Caplio R30」

 リコー「Caplio R30」は、手ブレ補正機能を省略した「エコノミー」クラスのコンパクトデジカメ。しかしカメラとしての実力はなかなかのもので、ズーム域は28mm?160mmで光学5.7倍と広く有効513万画素と画素数もまずまず。ボディの厚みが26mmと、このクラスのデジカメとしてはややボリューム感があるが、グリップ部分が微妙にカーブしていて意外と持ちやすい。

 リコー独自の「ダブルリトラクティングレンズシステム」を採用し、電源オンから約1.1秒で撮影可能となる。沈胴式で光学5.7倍ズームであることを考えると、この起動時間は十分に速い。難を言えば、メタル外装の質感と、ズーム時のレンズ駆動音がややチープな印象を与えることだろうか。望遠側は160mmで十分、手ブレ補正も必要ない、その分リーズナブルな価格を望む人向き、といえるだろう。


 広角28mmで撮影すると樽型の歪みが出るが、嫌味のある感じはしない。むしろ、このクラスでは健闘している描写といえるだろう。四隅までしっかり解像している点などは、広角撮影にこだわってきたリコーの力量をうかがわせる。コンパクトデジカメで撮る28mmとしては十分満足できる画質だ。


 また、被写体に1cmまで近づいたマクロ撮影ができるのも「Caolio R30」の楽しさ。ここまで近づくと、広角とはまた違った異世界を目にすることができる。「AFターゲット機能」搭載で、カメラを動かさずにピント位置だけを自由に移動させることができるのも、マクロ撮影では便利。できれば、マクロ撮影以外でもこの機能が使えるとさらにうれしいのだが…。


 もうひとつ、「斜め補正」モードもかなり面白い機能だ。これは、斜めに写った被写体をカメラが自動的に認識して、真正面から撮ったように補正してくれるというもの。実際に使ってみると、その効果は予想以上にすばらしかった。観光地などで案内看板を撮って記録するには、格好の機能といえるだろう。


 広角28mmと1cmマクロ、そして「斜め補正」を備えた「Caolio R30」。ふだん持ち歩いて撮りまくるのも楽しいが、これからのシーズン、旅行に持っていくコンパクトデジカメとしてもおすすめだ。

●広角専用レンズを別に備え、パノラマ撮影も楽しめる「EasyShare V570」

 コダック「EasyShare V570」の特徴は一目瞭然、世界で初めて2つのレンズを搭載したこと。しかも、それぞれのレンズに対応した2つの有効500万画素1/2.5型CCDを搭載する。

 上下に2つ並んだレンズの一方は、39mm?117mmの光学3倍ズームレンズ。そしてもう一方は、23mm相当の超広角固定焦点レンズである。2つのレンズの切り替えはズーム操作で行う。ズームボタンの広角側を押し続けると、使用レンズが23mmに切り替わる仕組みだが、できれば、専用ボタンのようなものがほしかった。

 さすがに23mmともなると写り込む世界の広がりは想像以上で、ここまで広角になると、扱いはやや難しい。遠近感は極度に誇張され、まるで水晶球に映った風景のように景色が歪む。超広角23mmは、広大な光景を、その広大さを強調するように撮るのにふさわしいレンズといえばいいだろうか。しかし、この超広角の画角は撮るたびにいろんな発見があることだろう。そんな意味では楽しいカメラだ。


 この超広角レンズを生かしたのが、「EasyShare V570」のパノラマモード。撮影画像をPCに取り込んでパノラマ加工する必要はなく、パノラマ写真がカメラだけで撮れるようになっている。撮影方法もコツをつかめば簡単だ。ガイド画像を頼りに、カメラを左から右へ(あるいは右から左へ)ずらして、水平を保ったまま3回シャッターを押せばOK。驚くほどの広さが1枚の写真の中に収まって、これがけっこう楽しい。


 ただし、ボディが小さいだけに、うっかりするとレンズやフラッシュに指がかかってしまう。各ボタンの配置やシーンモードを切り替えるメニュー画面は、日本製カメラと比べるとどうしても違和感がある。さらに、ボタンひとつで画像を共有したり、プリントしたりできるコダック自慢の「EASYSHAREシステム」。使い込みが不足していたのか、その使い方や便利さ、楽しさがいまひとつ実感できなかった。マニュアルも図解が少なく、ところどころ英文和訳的表現が気になるなど、とまどう点はいくつかあった。


 それでも、23mmレンズとパノラマモードだけで、このデジカメの価値は十分にあるといって差し支えないだろう。

 狭い部屋もしっくりと画面に収まってしまうのが広角レンズ。普通の部屋を広角で撮れば、もっと広々とした部屋に写る。ちょっとした写真のマジックだ。こんな楽しみができるのが広角レンズの特徴。これから新しいデジカメを手に入れるなら、どこまで広角の写真が撮れるのかちょっと気にしてみてはいかがだろうか。

 また、今使っているデジカメで、気軽に「広角」効果を体験する方法もある。「ワイドコンバージョンレンズ」というアクセサリだ。デジカメのレンズに取り付けると、広角レンズとほぼ同じ効果を得ることができる。カメラの機種によっては使えない場合もあるが、自分のデジカメが対応していたら、試してみるのも面白いだろう。(フリーカメラマン、榎木秋彦)


*WebBCNランキング編集部「借物」レビューとは、借りてきた製品について、個人的な体験をもとに使用感などをまとめたものです。「借物」レビューのほか、編集部員自らが購入した製品を対象とする「自腹」レビュー、社として購入した製品を対象とする「社腹」レビュー、もらい物を対象とする「他腹」レビューなどがあります。