「運には恵まれました」と述懐する楢葉勇雄さん――第13回

千人回峰(対談連載)

2007/09/10 00:00

楢葉勇雄

大塚商会 元副社長 楢葉勇雄

衰退産業と興隆産業の勢いの差

 奥田 大塚さんはパソコンの販売にも率先して飛び込んでいって、その時、大里さん(大里堅氏、後に常務)を起用したでしょう。風の噂で、楢葉さんと大里さんは仲が悪いと聞いてましたので、あっ、張り合わせるつもりだなと思いました。

 楢葉 (笑いながら)そういう側面があったかもしれませんね。二人の確執が“ベルリンの壁”につながったきらいはありますが、今となっては懐かしい思い出です。

 ただ、オフコンという衰退する産業と、パソコンという興隆する産業の差、いかんともしがたい勢いの差というものは、身を持って体験させられました。大塚さんの、こうした時代を見抜く目の鋭さ、慧眼さには、たびたび脱帽させられましたね。

女性の力を活用して老化現象を防げ

 奥田 ところで、この前の大塚商会の株主総会の席で、社員と株主全員を喜ばせ、勇気づけるような発言をしたそうですね。

 楢葉 ある株主から「大塚商会は学生の就職したい企業100社の中に入っていない、経営陣は何をしているんだ」という主旨の発言があり、会場の雰囲気が急速に冷えこんだので、私が常日頃考えていることを披露したんです。5年連続の増収・増益、しかも無借金になり、配当も増額してくれている。これは素晴らしいことで、経営者、社員の精進のたまものだと。

 奥田 二代目社長、大塚裕司さんの経営はどうごらんになっているんですか。

 楢葉 社長に就任して大きく成長したなと思います。大塚実名誉会長とは違ったよさが生きてきてますね。

 名誉会長は、稼ぐに追いつく貧乏なしと考えていたため、経費削減、コスト削減などはあまり言わず、粗削りというか、多少どんぶり勘定でも仕方ないというようなところがありました。

 裕司社長の場合、コンピュータをうまく活用して、業務プロセスを改善するなど、無駄を排除して、効率的、科学的な経営を心がけており、これがうまく機能していますね。5年連続の増収増益、実質的な無借金経営など、立派なものですよ。

 奥田 総会の席上では、女子社員をもっと活用せよともおっしゃったようですが…。

 楢葉 企業にとって一番怖いのは社員の平均年齢が上がることによる老化現象だと考えているんです。メーカーである富士通が平均年齢39歳だといわれますが、大塚商会の場合は35歳。これは販売会社としては危険水域だと思うんです。オービックは32-33歳、光通信は28歳くらいでしょう。年をとった社員をどう処遇活用するか、本気で考えねばならないところにきている。

 その対策の一つして、もっと女子社員を活用できないかと質問したんです。昔と違い、歩け、歩けのドブ板営業から脱し、ITを活用しながらサポート、サービスをもっともっと強化していかねばならない時代に入っているわけですから、女子社員活用の道はあるはずなんです。私が見てきたところでも、女子社員は総じてまじめだし、責任感も強い。一方で寿退社の率も高いわけですから、女子社員をうまく活用することが、老化現象対策としても有効だと思うんです。

 奥田 重なご意見ありがとうございます。最後に、大塚商会の現経営者、社員に対して言いたいことがありましたら、お願いします。

 楢葉 社会、経済というものは動いているものです。現在は成功している手法も永遠に通用するわけではない。このことは肝に銘じておいて欲しいと思います。

前へ

Profile

楢葉勇雄

(ならは いさお)  1930(昭和5年)年、千葉県生まれ。■53年中央大学卒業、教文館に入社。■69年大塚商会入社、亀戸支店長に就任。以降、73年城北営業部長、 75年取締役、77年常務取締役、87年専務取締役、95年副社長、96年最高顧問。■97年大塚商会退社、BCN顧問に。07年BCN退任。