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住民税から「副業がバレる」からくり 副業する際に注意したいポイント

経営戦略

2021/10/23 18:00

【家電コンサルのお得な話・61】 新しい生活様式やリモートワークの普及、働き方改革により副業を認める企業が増えている。一方で本業に支障が出る可能性があるとして副業を認めていない企業も依然としてある。「副業はバレないだろう」という安易な気持ちで始めると痛い目に遭う。副業がバレるからくりを説明しよう。

給与所得:住民税の特別徴収のイメージ

副業NG企業で副業するとバレる

 前回の連載では、副業を始める際にその仕事が「時間切り売り型」か「時間超越型」のどちらであるかを考える必要性について解説した。

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 今回は副業を始める前に、そもそも副業OKの企業であるかどうかを確認しておかねばならないこと、また副業NG企業で副業していることがバレる仕組みについて説明する。

 当たり前のことではあるが「本業で副業を禁止されていないか」は確認しよう。厚生労働省が2018年1月に策定(20年9月改定)した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の流れを受け、副業を解禁する企業が増えてきてはいるが、依然、禁止している企業も多いのが現状である。

 企業が副業を禁止する理由は「副業により本業に支障・不利益が出るのを防ぎたい」という思いの現れであるといえるだろう。

 ここで気を付けたいのが、「これくらいなら大丈夫だろう…」という自分の勝手な思い込みや判断で副業を始めてしまうことである。副業OKの企業なら問題ないが、副業禁止の企業では「副業がバレてしまった場合、懲戒処分を受ける」ことが考えられるため細心の注意が必要である。

 そもそも「100%副業がバレない方法はない」といってもいいくらい、思いもよらぬことがきっかけで本業の企業に知れてしまうことも多い。

 少しでも多く稼ごうと思って副業を始めても、本業で不利益を被れば全く意味がなくなってしまう。「バレなかったら大丈夫」という論調で副業をすすめる人もいるが、筆者としては、残念ながら「副業禁止の企業」に勤めている人は副業をあきらめることをおすすめしたい(将来への“準備”は別)。

 本業の企業に副業がバレる理由として多いのが「住民税」である。簡単に一例を示せば、給与所得の場合、図のように籍を置いている地方自治体(区市町村)は給与を支払っている企業からの給与支払報告書によって住民税額を決定しており、もっとも給与支払額の多い企業に報告する。

 それを受けた企業は住民税を給与から天引きするという特別徴収を行う。そのため、自社が支払っている給与の額に対し、住民税額が多ければ「あれっ?住民税がやけに多いぞ!?」という流れでバレてしまうのである。

 また、副業で得た収入が20万円以下で確定申告の必要がない場合でも、住民税の申告は必要である。例えば、会社員が原稿執筆した場合の雑所得で20万円以下でも住民税は支払わねばならない。

 この場合、確定申告用紙の「普通徴収(自分で納付)」を選ぶことで、勤めている企業からの特別徴収ではなくなるが、各地方自治体から企業に連絡する住民税の特別徴収額の様式は自治体により様々で、普通徴収額などが明示されるケースなどもあり、ノーリスクではない。

 いずれにせよ、副業禁止の企業で副業を行うのは避けた方が賢明だといえるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。