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2021キャッシュレス決済 実態調査 納得できない未導入の理由

 経済産業省が事業者を対象にインターネット上で実施し、2021年6月に公表した「キャッシュレス決済 実態調査アンケート」で分かった、キャッシュレス決済未導入の事業者が回答した「導入していない理由」は、消費者視点では疑問の残る結果だった。キャッシュレス決済未導入の理由として多くの事業者が挙げた「客からの要望がない」に対して、手数料などのコスト負担低減とは別のアプローチが必要だろう。

第1回はこちら

2021キャッシュレス決済 実態調査 キャッシュレス導入率は約7割
https://www.bcnretail.com/market/detail/20210811_237219.html
 
「キャッシュレス決済 実態調査アンケート」の要約

単に顧客の声を聞いていないだけ?

 同調査によると、キャッシュレス決済を導入していない理由の1位は「客からの要望がない」、2位は「手数料が高い」、3位は「導入のメリットが不明/実感できない」だった。自由記載欄では「業態に合わない」「高齢者が多く要望がない」「銀行振込を利用」などの回答が多かった。
 
キャッシュレスを導入していない理由

 この調査の対象となるキャッシュレス決済は、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネー、コード決済などのカード・携帯電話・スマートフォンによる支払い。アンケート回答数は1189件、調査時期は21年1月27日~3月31日。

 回答した事業者におけるキャッシュレス導入率は72%、未導入率は28%。つまり3分の1弱は導入していなかった。また、業種別でみると一次産業、製造業、建設業の導入率が低く、全業種では、客単価1万円を超えると、客単価が高いほど導入率が低かった。
 
キャッシュレス決済導入状況(客単価別・BtoC比率別)

 客単価別でみると「客単価5000円未満」の事業者は、キャッシュレス決済を導入していない理由として「手数料の高さ」を挙げた。一次産業、製造業、建設業では1位だった「客からの要望がない」も3位に入り、回答数は40件以上にのぼった。
 
キャッシュレス決済導入状況未導入の理由(客単価5000円未満)

 一方、「客単価5000円~5万円未満」「客単価5万円以上」の事業者は「客からの要望がない」が1位となり、「客単価5万円以上」では自由回答も多かった。2019年秋以降、PayPayをはじめとするキャッシュレス決済サービスの還元キャンペーンが話題になる状況で「客からの要望がない」と分析する事業者は、新規顧客の開拓や既存顧客とのコミュニケーションを軽視している可能性があり、2025年までにキャッシュレス決済比率40%の目標達成に向け、今後取り組むべきマーケティング課題が浮き彫りになった。(BCN・嵯峨野 芙美)