非接触決済の本命、Apple PayとGoogle Payの違いは?

販売戦略

2021/02/03 18:00

 経産省の資料※によると、2019年のキャッシュレス決済比率は26.8%と、日本ではキャッシュレス決済時代が到来しつつある。キャッシュレス決済手段のうち、対応スマートフォンを持っていれば手軽に使えるのが「Apple Pay」と「Google Pay」だ。どちらもさまざまな決済サービスをまとめて管理できるプラットフォームとして活躍している。格的なキャッシュレス生活を送るなら、違いを知ったうえで、どちらを使うか検討したい。

経済産業省「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」 第二回資料

コロナ禍でコンタクトレス(非接触)決済が活躍している

iPhoneAndroidの違い、だけじゃない

 二つの大きな違いはiPhoneで使えるのがApple Pay、Androidスマートフォンで使えるのがGoogle Payということだ。次いでおさえておきたいのは、対応している決済サービスの違いだ。まず電子マネーのSuica、QUICPay、iDはどちらも使える。ただし、PASMOはApple Payのみ。楽天Edyとnanaco、WAONはGoogle Payのみの対応となっている。

 また、その他の非接触決済手段としては、Apple PayはMastercardコンタクトレス、JCB Contactless 、American Express Contactlessが使えるのに対し、Google PayはVisaのタッチ決済のみ。さらに、VISAブランドのクレジットカードの場合、Appley PayにはiDで登録されるので、ネット決済が利用できない。自分がよく使う決済手段が使えるか事前にチェックすることが重要だ。
 
Apple Pay

使用前認証の要否

 セキュリティ面でも異なっている。スマホは落としたり忘れたりした場合、自分のスマホが誰かに拾われて、キャッシュレス決済に勝手に使われる恐れがある。Apple Payの場合、支払い時にTouch ID(指紋認証)あるいはFace ID(顔認証)による本人認証が必要となるので、ひとまずは防ぐことができる。ひと手間かかるものの、安全性は高い。

 一方で手間を省きたい場合は、「エクスプレスカード」に指定することで、認証なしでの支払いが可能となる。国内ではSuicaやPASMOが対応している。公共交通機関の乗り降りや、コンビニでの支払いで役に立つはずだ。チャージ時は認証が必要だが心配ならチャージ金額を少なくしておけば、紛失や盗難時のリスクを下げることができる。

 Google Payの場合は、支払い前の認証が不要。便利である反面、誰でもかんたんに使えてしまう。その代わり、1回の支払いの上限がQUICPay+対応店で3万円(税込)まで、QUICPay対応店で2万円(税込)までとなっている。とはいえ、紛失や盗難に備えて、遠隔操作でロックしたりデータを消去したりできるよう設定しておきたい。
 
Google Pay

新端末への移行のかんたんさ

 スマホを定期的に買い替えると想定すれば、新しい端末への移行のかんたんさも重要だ。Apple Payの場合移行はかんたん。クレジットカードの場合は旧機種と同じApple IDでログインすると、Walletアプリに旧機種で使っていたクレジットカードが表示されるため、新機種で使うカードを選択するだけである。Suicaの場合も、旧機種から削除した後で、新機種のWalletアプリで追加するとデータが引き継がれる。

 Google Payの場合、各電子マネーのアプリをダウンロードし、それぞれで移行の手続きが必要になる。1つのアプリで完結するApple Payに比べると多少、手間がかかるといえる。

ポイントカード管理の可否

 Google Payには、アプリ上でポイントカードや会員カードのバーコードを読み取り、Google Payアプリ上でコピーして一元管理する機能が付いている。多くの店舗のポイントカードがまとめられるため、現金だけでなく、ポイントカードや会員カードの持ち歩きも不要になるかもしれない。

 一方、Apple PayはdポイントカードとPontaポイントカードのタッチ式ポイントカード機能のみ利用可能。個別のアプリを使えば、iOS上でポイントカードを管理することは可能だが、Google Payに比べると便利とは言いにくい。

Suica機能にも違いが

 公共交通機関を利用する人がよく使うSuicaにも違いがある。Apple PayではモバイルSuicaを含めたカードを最大12枚まで発行することが可能。複数のSuicaをプライベートとビジネスで使い分けることもできる。一方、Google PayではSuicaを1枚しか発行することができない。

 さらに、Suicaのチャージ手段として、Apple PayはVisaブランドのクレジットカードを使うことができない。Google PayはVISA、MasterCard、JCB、American Expressブランドのカードからチャージすることができるため、Visaがメインの人にはGoogle Payのほうが使いやすいかもしれない。ただし、iOSのSuicaアプリを利用すれば、Apple PayでもVisaブランドのクレジットカードからのチャージが可能。手間はかかるが、全く使えないというわけではない。

電子マネー機能でスマホを選ぶという選択肢も

 実は意外と違いの多いApple PayとGoogle Pay。おサイフケータイやモバイルSuicaを介したチャージなど、違いの一部を埋めることができるサービスもあるが、キャッシュレス生活を送りたいと思っている人は、事前にチェックしておいたほうが安心だ。スマホの機種選びで迷った際は、日常での使い方を比較して選ぶのもアリかもしれない。(ライター・ハウザー)