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完全ワイヤレスイヤホン、3カ月で950個が線路に落下 防ぐには?

【なぐもんGO・69】 JR東日本をはじめとした鉄道各社で完全ワイヤレスイヤホンの落とし物が増えている。耳が小さい筆者は、一度装着したら引っ張っても外れないためあまり実感はないが、落ちているものは何度か見かけたことがある。よく遭遇するのは駅だ。気になって調べてみると、JR東日本 東京支社管内全78駅の線路へのイヤホンの落とし物は3カ月(2020年7月~9月)で実に947件にも上る。想像以上に多かった。

JR東日本 東京支社管内だけでも3カ月で約950個の
完全ワイヤレスイヤホンが線路に落ちている

 線路にイヤホンを落とすと、さまざまな影響が出る。例えば、落としたイヤホンを拾得するために電車が止まったり、ダイヤが乱れたり、イヤホンを探すために複数の駅係員の手がかかったりと、駅を利用する人全体へ迷惑をかけてしまう。

 東日本旅客鉄道(JR東日本)東京支社の広報担当によると、「(目視で探しても見つからなかった場合)最終電車が出発した後、電車がこれ以上ホームに来ないことを確認してから、線路に降りてイヤホンを探すこともある」と話す。これが3カ月で950件。単純に割って1か月当たり316件、毎日10件という計算だ。もはや駅係員の負担は計り知れない。

 こうした事態を受けて、JR東日本 東京支社は11月4日から、「線路に落とさないで!ワイヤレスイヤホン落とし物防止キャンペーン」を実施している。その名の通り、線路に完全ワイヤレスイヤホンを落とさないよう呼び掛ける施策だ。

 「ワイヤレスイヤホンのように非常に小さいものはすぐに拾うことが難しく、お客さまのお手元に戻るまでに時間を要する場合もある」として、12月27日までは、駅のデジタルサイネージやSNS、駅構内放送あどによる呼びかけを実施する。
 
完全ワイヤレスイヤホンは小さく転がりやすいので、一度落とすとすぐに見失うことがある

落とさないために注意したいこと

 特に注意したいのは電車の乗降時。移動に際して、人同士や荷物、ドアなどにイヤホンが引っ掛かり落ちてしまうからだ。乗降時はよそ見をせず、順序良く降りるとスムーズで安全だ。さらに、冬はマフラーの着け外しでもイヤホンが落ちてしまうこともあるだろう。焦ってしまうとかえって時間がかかる事態に陥りかねないので、イヤホンを装着している際は一層周囲に気を配りたい。

 万が一、片方だけ落としてしまっても、Appleなら純正の新品と有償で交換することができる。また、イヤホン・ヘッドホン専門店のe☆イヤホンでは中古の片耳のユニットだけを購入することが可能。必要になったら活用してみるのも選択肢の一つだ。

 とはいえ、全国の家電量販店やECショップでPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、完全ワイヤレスイヤホンの平均単価(2020年10月)は約1万6000円。高価なものなので、落とさないに越したことはない。自らも含めた、駅にいる人全体に迷惑をかけないためにも、完全ワイヤレスイヤホンを落とさないよう注意したい。

 ちなみに、落ちたイヤホンを駅係員が拾得した場合、ある程度の期間は駅で保管するが、その後は落とし物を集積する場所に移動され、その後警視庁に引き渡されるそうだ。もし、期間が過ぎてから落とし物に気が付いた場合は、この経緯をたどって問い合わせてみると、見つかるかもしれない。(BCN・南雲 亮平)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。