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販売台数前年割れでも販売金額は2桁増を維持するグラフィックボード

 巣ごもり需要と半導体不足にグラフィックボード市場が揺れている。いずれも新型コロナウイルス感染症拡大の影響だ。BCNランキングによると、品薄の影響で販売台数は4月から7月、11月と12月は前年を下回った。しかし、需要は堅調で、平均単価は昨年1月の4万800円(税抜き、以下同)から12月には6万5600円と6割も上昇。このため、昨年は1年を通じ、販売金額は前年比2桁増を維持した。
 


 現在、グラフィックボードの主要部品、GPU(Graphics Processing Unit)メーカーはNVIDIAとAMD。2社で9割以上を占める寡占市場だ。搭載グラフィックボードの販売台数シェアではNVIDIAが8割から9割を占めている。12月現在の搭載GPU別のTOP5は、4位までがNVIDIAのGeForceシリーズ。5位にようやくAMDのRADEONが登場する。最も売れているのが「GeForce RTX 3060」で平均単価が6万3400円。次いで「GeForce RTX 3060 Ti」が7万8100円といずれも5万円を超える。3位は「GeForce GTX 1650」で2万5600円、4位の「GeForce GT 730」が4800円とエントリークラスが顔を出すものの、5位の「RADEON RX 6600」は5万6500円と、やはり5万円超のモデルだ。
 

 グラフィックボードのメーカー別販売台数シェアでは、12月現在で玄人志向ブランドのシー・エフ・デー販売が25.7%でトップ。MSIが僅差の24.4%で2位。少し離れて16.9%のASUSが3位、4位が7.8%のPalit Microsystemsと続く。5位から8位までは1ポイント差で4社がひしめく混戦状態だ。製品別では、シェア5.2%で最も売れているのがシー・エフ・デー販売の「GF-GTX1650D6-E4GB/DF3」。NVIDIAの「GeForce GTX 1650」を搭載し平均単価2万5000円のエントリーモデルだ。2位はMSIの「N730K-2GD3H/LPV1」。NVIDIAの「GeForce GT 730」を搭載し、平均単価3900円とリーズナブルなモデルだ。このほか、売り上げTOP10の平均単価を見ると、最も安いのが3位のシー・エフ・デー販売の「GF-GT710-E1GB/HS」で3200円、最も高いのが9位のGainwardの「NE6306T019P2-190AB」で7万7700円。売れ筋上位の製品で価格差が激しいのもグラフィックボード市場の特徴だ。
 

 ビットコインなど暗号資産の価格上昇に伴うマイニング需要の高まりもあり、グラフィックボードの高単価状態はしばらく続きそうだ。(BCN・道越一郎)