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MNO移行まで2カ月を切った楽天モバイル セット端末に自社回線対応を明示

 楽天モバイルは、今年10月1日から自社で回線設備を保有する「MNO」としてモバイル通信サービスを提供する。MNOサービス開始まで2カ月に迫った8月8日現在、公式サイトなどを参考に最新の情報をまとめた。MNOとしての料金プラン、端末ラインアップなど、詳細の発表が待たれる。

自社回線対応端末はAndroidスマホ12機種

 8月5日時点で、自社回線対応製品は「AQUOS zero SH-M10」などAndroid搭載スマートフォン(スマホ)12機種とモバイルWi-Fiルータ「Aterm MR05LN」の計13機種。その他の製品については「非対応」と、公式サイト(https://mobile.rakuten.co.jp/news/service_20190314/)に明記されている。

 シャープのAQUOSスマホは、シリーズ全体で高いシェアを誇る人気シリーズだが、最新フラグシップ「R3」のSIMフリー版が未発売。そのため、現時点の12機種ではハイエンドモデルの不足感が否めない。また、大手3キャリアが取り扱っていないOPPO製スマホが主力になりそうだ。
 
楽天モバイル自社回線対応端末一覧。iPhoneが対応するかどうかは不明

「2019年3月14日10時」を境に対応が変わる

 公式サイトによると、今年3月14日10時以降に新規に申し込んだユーザー向けに19年10月以降、自社回線に対応する新しい専用SIMカードを順次送付するという。契約中のプランや最低利用期間は、SIMカード交換後も引き継がれ、最低利用期間中の解約で契約解除料が発生する。利用環境によっては新しいSIMカードを送付しない旨が記載されており、今も販売中の「HUAWEI Mate 20 Pro/P20」「HUAWEI nova 3」など自社回線非対応製品を購入したユーザーに新しいSIMカードを送付しないものとみられる。一方、19年3月14日9時59分までに申し込んだ既存ユーザーに対して、あらためて自社回線への移行に関する詳細を案内するとしている。
 
2019年10月以降、順次自社回線(MNO)への移行を推奨する

 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、「格安スマホ」とも呼ばれるSIMフリースマホの販売台数が伸び始めたのは2016年4月以降。販売台数構成比は、やがて16年12月には2割を超えて、一時、25.9%まで拡大したが、ここ半年は勢いをなくし、月によっては2割を切る水準まで低下している。
 

 8月8日に開催した楽天の決算説明会のなかで、楽天モバイルの料金や、具体的なサービス体制については9月上旬に詳細を発表する方針が明らかになった。2~3年前、格安スマホ・MVNOに脚光が集まった頃に、早々にMVNOの「楽天モバイル」に乗り越え、ずっと利用しているユーザーは1カ月後の続報を待とう。

通信からEC、ECから通信 目指すところは「エコシステム」の確立

 なお、楽天モバイルの音声回線(月2GBまで、2年契約で楽天会員は月額1980円、楽天ダイヤモンド会員は1年目のみ月額1480円)は、総合ECモール「楽天市場」で買い物する際、ポイント付与率がアップする「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」の対象となっているが、今後も引き続きポイントアップ対象になるなら、他のキャリアも、同様に回線契約を提携するECモールのポイントアップ条件に加える可能性は高いだろう。
 
キャリア対決とECモール対決、違いは競合の数だ

 もしそうなると、「楽天市場」「au Wowma!(ワウマ)」「dショッピング」と、ソフトバンク・ヤフー連合の「PayPayモール(今秋開始予定)/Yahoo!ショッピング」によるECモール対決が勃発する。

 楽天モバイルは、通信事業の新規参入にあたり、汎用サーバーとソフトウェアを用い、ソフトウェア処理でアップデート可能な「世界初の完全仮想化ネットワーク(vRAN)」で通信ネットワーク網を構築する計画。当然、業界初の試みとなり、インフラ全体の安定性などは未知数だ。しかも、当初1~2カ月はスモールスタートとなるという。
 
楽天のビジョンと、楽天モバイルの完全仮想化ネットワークの仕組み
(楽天 2019年度第2四半期決算 スライド資料より)

 対して、ECモール運営なら、楽天としてすでに長年の実績があり、しかもスマホ決済サービス「楽天ペイ」でキャンペーンはもちろん、アプリのUIや加盟店の多さなどでも他社に引けを取らない。楽天モバイルのMNOサービス開始後のキャリア別シェアの変動に注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。