動画撮影機能を備えたデジタル一眼レフカメラが多くなってきた。2010年4月「BCNランキング」での販売台数構成比は78.5%で、過半数を超えている。しかし、一眼レフカメラのメイン機能はあくまでも写真の撮影。動画機能を使っていない人は意外に多いのではないだろうか。デジタル一眼レフの動画撮影をサポートするアクセサリとして、エツミが4月に発売したのが、ライブビューフード「E-6273」だ。こちらを使って、海辺と田園風景の撮影にチャレンジした。

液晶画面がファインダーに、ビデオカメラのような操作感



ライブビューフード「E-6273」(カメラはニコンのD90)

 「E-6273」は、2.5倍のルーペが付いた3型モニタ用の遮光モニタフード。デジタル一眼レフカメラの液晶画面に、粘着性のポリウレタンで装着する。撮影時に外光が差し込んで画面が見にくくなるのを防いでくれる。まるで、デジタルビデオカメラのファインダーをのぞいているような見やすさだ。ルーペは視度調節ダイヤル付きで、自分の視力に合わせることができる。 

液晶画面がファインダーに早変わり

 「E-6273」を使うときに活躍するのが、同じくエツミのカムコーダーサポート「E-6124」だ。いわゆるベルト付きの一脚で、ベルトを首から提げて脚を胸部や腹部で支えるという仕組み。これがあれば、デジタル一眼レフを手だけでなく、上半身で支えられるので、ブレの少ない映像を撮ることができる。脚の長さや雲台の角度は調節できる。ちなみに、今回は「E-6273」を液晶画面にしっかりと固定するために、専用ブラケット「E-6275」も使った。 

カムコーダーサポートは胸部や腹部で支える

 しかし、いくらモニタフードで液晶画面が見やすくなっても、無理な撮影姿勢では長時間の動画撮影は難しい。デジタル一眼レフは、動画を撮影するときは液晶画面を通じて映像を見るので、重いボディを手で支え続ける方法はあまり得策ではない。「E-6124」のような一脚という選択肢もあるが、三脚を使ってカメラを固定するのがベストであることをあらかじめお伝えしておきたい。
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動画撮影にチャレンジ!――(1)海辺編



 では、撮影した動画とともに、アクセサリの操作性をみていこう。デジタル一眼レフカメラはニコン「D90」を使用した。動画の解像度は1280×720画素。マニュアルフォーカスは使わず、焦点を固定して撮影した。まずは、ゴールデンウィーク中に友人と一緒に参加した海辺の清掃活動から。

 真っ先に素晴らしいと感じたのは、「これだ!」と思った被写体を見つけたら、すぐに撮影に入れる手軽さだ。三脚を使った撮影と比べると、適切な場所に設置して脚の高さを調節する、という手間や時間がかからないのはうれしい。


動画1

 清掃活動の参加者をフィックスで撮ったのがこちら(動画1)。姿勢をやや低くした状態で、一脚を両足で挟んで撮影した。カムコーダーサポートが想定する使い方とはちょっと違うかもしれないが、ボケ味を生かしたブレの少ない画を撮ることができた。

 次は、友人へのインタビュー(動画2)。撮影開始時は普通に立っている姿勢なので、一脚のおかげで画がきちんと固定されている。D90は撮影中にオートフォーカスが使えないないので、ゴミ袋をのぞきこんだときは、足元の砂浜にピントが合ってしまった。しかし、柔軟な動きが求められるカメラワークにも対応できることがわかった。


動画2

 低い位置での撮影はどうだろう。波打ち際に沿って並ぶ貝殻をフィックスで撮影した(動画3)。こちらはしゃがんだ状態で撮った。動画は少々ブレてしまっているが、低い姿勢での撮影は一脚の操作に慣れれば、ほぼ固定された画が撮れる。ちなみに、右上から入り込んでくる人はやらせではなく、たまたま映ったもの。


動画3

 ひと通り海岸で撮影したところ、モニタフードとカムコーダーサポートを使うことで、デジタル一眼レフを両手で支えては撮ることができような低い位置の被写体でも、ブレの少ない画が撮れるのは画に意外性が出ておもしろかった。一脚の脚の長さや雲台の角度の調節は、少し使えばすぐに慣れ、手早く好みの位置に設定できるので心配はいらない。

 一方、デメリットは、カムコーダーサポートは脚を胸部や腹部で支えるので、呼吸をするとそのからだの動きが伝わって、映像がぶれてしまうこと。短時間の撮影であれば、息を止めて録画したほうがいいかもしれない。


動画4

 また、モニタフードとカムコーダーサポートを一眼レフカメラに装着して使うと、見た目がものものしくなる。今回のような、たくさん人がいる場所(動画4)で使うのは、正直なところ、とても恥ずかしかった。これはもう、とにかく開き直って撮影に徹するしかない。
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動画撮影にチャレンジ!――(2)田園編



 続いて、初夏の田園風景の動画を見ながら、さまざまな撮影スタイルをチェックしよう。

 三脚を使っていてはできない撮影として、川沿いの桜並木の下で歩き撮りに挑戦した(動画5)。右、左、右……と足を交互に出しているのがわかってしまうほどの揺れだが、左手に田んぼ、右手に桜並木、という画角をなんとかキープすることができた。ただ、これを短編映画などの映像作品の素材として使うには厳しいだろう。


動画5

 歩きながら怖いと感じたのは、当たり前ことだが、足元が見えないこと。液晶画面を使ったデジタルビデオカメラの撮影であれば、周囲の様子がある程度視野に入ってきて状況を把握できる。しかし、ライブビューフードはファインダー越しに眺めるのと同じ状態なので、歩いていて不安にかられた。

 歩き撮りは、撮りたい場所であらかじめ何度か撮影練習をして、変化していく映像のイメージを掴んでおくといい。ちなみに、動画は3回撮ったなかで最もよい映像を選択した。


動画6

 田んぼの周辺を散策していると、エサをついばんでいるシラサギに出会った。飛んで逃げていかないよう細心の注意を払って、姿勢を低くして撮影した(動画6)。一脚は両足で挟んで固定した。動画は望遠なので、かなり手ブレが目立つ。遠くで動く被写体を追って撮るのは難しいので、こうしたときはやはり三脚が必要だ。


動画7

 パンニングにも挑戦した。眼下に広がる田んぼとその後ろの新緑がまぶしい山々を収めた(動画7)。広角で撮影しているので手ブレがあまり気にならず、それほど悪くない画が得られた。こちらも歩き撮りと同様、何度か試し撮りをして、体にパンニングの動きを事前にたたき込むと、比較的うまく撮影できる。

 このほか、頭上にある被写体として、葉桜の枝を下からフィックスで撮影したのがこちら(動画8)。一脚は少しからだを反るような姿勢で支えた。やや手ブレはしているものの、何とか見るに耐えうる画を撮ることができた。手持ちの撮影だったら、カメラのボディが重くてしっかりとホールドできず、このような画角の撮影は難しかっただろう。


動画8

 海辺と田園という二つの場所で「デジタル一眼レフカメラ+アクセサリ」という機材で撮影したが、デジタル一眼レフで「動画を撮りたい」という気持ちが高まったのは、大きな収穫だった。基本的に一眼レフカメラは写真を撮るものだと思っていたので、動画を撮影するというのは、正直なところハードルが高かったからだ。

 また、ボディを手で持ったときと比べると、ブレの少ない映像が撮れるのは、撮影をしていてとても気持ちがよかった。三脚使用時の画と比較すれば、やはりブレが目立つのは否めないが、それぞれのスタイルで撮れる動画の特徴を踏まえたうえで、撮りたいイメージに応じた撮影方法を選択するといいだろう。(BCN・井上真希子)


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