動画も撮れるデジタル一眼が相次いで登場している。なかでも高い動画撮影機能を備えるのが、パナソニックの「LUMIX GH1」だ。マイクロフォーサーズ規格で小型軽量という特徴もあり、動画も写真もハイレベルでこなすユニークなカメラとして注目を集めている。そこで、実際に撮影しながら使い勝手や画質をチェックした。

フルHDでのオートフォーカスも可能、表現の幅が広がる



 「GH1」の特徴はなんといっても動画だ。AVCHDモードで1920×1080のフルHD(ハイビジョン)動画が撮影できる。その上、他の動画対応一眼では難しい動画撮影中のAF(オートフォーカス)もスムース。例えば16GBのSDHCカードを使うと、最大で2時間もの連続撮影ができるのも使い勝手がいい。同社の薄型テレビ「ビエラ」のSDスロットにメモリカードを差し込んで、そのまま動画や静止画を観たり、レコーダー「ディーガ」に、動画や静止画を保存したりすることも可能。もちろん、ビエラリンクにも対応し、GH1とHDMIケーブルで接続すれば、ビエラのリモコンでGH1を操作できる。

DMC-GH1K レンズキット(コンフォートゴールド)

 デジタル一眼で動画を撮影する最大のメリットは「映像表現の幅」が広いこと。一般向けのデジタルビデオカメラに比べ撮像素子が大きく、ピントの合う範囲(被写界深度)が浅くなる。そのためデジタル一眼の動画機能では、特定の部分だけにピントを合わせるような、奥行きのある映像を撮りやすい。とはいえ、逆にしっかりピントを合わせなければボケた映像になってしまう。GH1は、AF性能に優れているため、初心者でもこうした表現を簡単に楽しめる。

ステレオマイクを内蔵するうえ、外部マイク端子も備える

 試しに風に揺れるあじさいを撮ってみた。みずみずしい花の様子が鮮やかに撮影でき、しかもわずかにカメラをパンすると、奥の花にスムースにピントが合う。動画撮影時に感じたのは動作音の小ささ。撮影中に本体からほとんどノイズが出ないため、音声にノイズが入らない。また、動画撮影ボタンが独立していて、非常に使いやすい。また内蔵マイクがステレオで、外部マイク端子もついているというのも頼もしい。


フルHD動画撮影には対応レンズが必要



 GH1のフルHD動画機能を最大限活用するには、対応レンズが必要になる。また現在販売されているレンズキットにも同様の理由で「GH1K」と「GH1A」の2種類がある。購入の際には注意が必要だ。動画撮影を重視するならフルHD動画撮影対応のレンズを組み合わせた「K」を、静止画撮影中心で機動性を重視するなら小型レンズつきの「A」を選ぶ。

「LUMIX G VARIO HD 14-140mm/F4.0-5.8 ASPH./MEGA O.I.S.」(左)と「LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.」

 動画向きのレンズキット「GH1K」に付属するレンズは「LUMIX G VARIO HD 14-140mm/F4.0-5.8 ASPH./MEGA O.I.S.」。フルHDモードでAFが使える唯一のレンズだ。動画撮影中のAFが極めてスムースに動作し、AF時の動作音も小さいので、撮影中にレンズが動く際に発生する雑音もほとんど気にならない。ズーム倍率も10倍と高倍率で、35mmフィルム換算で28-280mmと広角から望遠まで幅広くカバーする。欠点は約460gとボディより重いこと。約385gの軽いボディとの組み合わせは若干バランスが悪い。

 一方、動画撮影をそれほど重視しないなら、「LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.」が付属する「GH1A」のほうがいい。フルHD撮影時にAFが使えない点や、動画撮影時のAF速度が遅いこと、レンズ動作音がやや大きいとなど、動画撮影時の制約は多い。しかし、メリットは、なんといっても軽くて小さいこと。約195gしかないため小型のボディとのバランスもいい。35mm判換算で28-90mmとズーム比は約3.2倍でやや物足りないが、普段使いのスナップ用途には十分。レンズの交換はできるわけだから、どちらかのレンズキットを購入した後、用途に応じてレンズを買い足してもいいだろう。

1/200 F4.5 Ev-0.3 21mm ISO 200 GH1・LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
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 今回のテスト撮影では両方の特性を活かすため、動画では「GH1K」に付属するレンズ「LUMIX G VARIO HD 14-140mm/F4.0-5.8 ASPH./MEGA O.I.S.」を使用し、静止画では「GH1A」に付属する「LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.」を使った。

1/60 F5.3 Ev+0.3 30mm ISO 200 GH1・LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
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写真撮影機能は、ほぼG1と同じ



 GH1は動画撮影に対応するのがG1との大きな違いだが、ほかにも撮像素子の「総画素数」が大きく違う。有効画素数はいずれも1210万画素で同じだが、総画素数はGH1が1398万画素とG1の1306万画素より大きい。総画素数が増加したことで、静止画撮影の縦横比が4対3、3対2、16対9のいずれの場合でも、ほぼ同じ画角で撮影できるようになった。その他の仕様については、G1もGH1も本体重量も含めほとんど同じだ。

1/200 F9 Ev-0.3 31mm ISO 200 GH1・LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
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 それでは、デジタル一眼としての本来の機能ともいえる写真の撮影機能についてみていこう。まずはファインダーだ。ミラーとプリズムの無いマイクロフォーサーズ規格だから、ファインダーは当然ながらEVF(電子ファインダー=Electronic View Finder)だ。非常に明るい屋外など背面液晶が見づらい場面では大きな威力を発揮する。ただし、通常の一眼のように、レンズを通したそのままの像を見るわけではないので、EVFのデメリットは我慢しなければならない。

1/160 F9 Ev+0.3 28mm ISO 200 GH1・LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
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 144万ドットのファインダーなのだが、通常のデジタル一眼と比べるとやはり画面は物足りない。見えている画像の解像度は、撮れる解像度の約9分の1ほどしかないのだから無理もない。しかしせっかく高精細でキレイな写真が撮影できているのに、実際に撮影しているときには、見ているままの粗い画像が撮れているような錯覚に陥る。このギャップがもったいなかった。また、これもEVFならではの共通した欠点だが、実際の被写体の動きと若干遅れて表示されたり、1カット撮影してから被写体の映像が戻るまでのタイムラグも気になった。

1/20 F6.3 Ev-0.3 14mm ISO 200 GH1・LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
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 なお今回の撮影では、最もカメラの負担が大きいRAW+ファインという記録モードを使った。そのため、連写枚数も3カット+2カット程度で一旦止まってしまった。カメラ内の一時保存用のメモリが一杯になってしまうのが原因だ。日常的にこれほど連続的にシャッターを切ることはないかもしれないが、もう少しカメラ内のメモリを増やしてもよいのではないかと思う。これらのことから、スポーツなど、動きが激しく短時間に沢山シャッターを押すような撮影にはあまりおすすめしない。


 また液晶画面の解像度が46万ドットと少なめなのがやや残念。倍の90万ドットクラスになればほぼ十分な画素数といえるので、このへんはもう少しがんばって欲しかった。しかし、パネル自体はフリーアングルで可動式。そのためハイアングルやローアングルでの撮影も簡単で便利だ。動きはスムースで液晶を裏返しておくこともできる。画面に傷がつきにくく、持ち運び時にも安心だ。

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分かりやすいメニュー構成、露出に関する機能が充実



 メニューはコンパクトデジカメと似た構成になっており、初心者でもあまり違和感なく使えそうだ。アイコンと文字をうまく組み合わせて分かりやすいメニューになっているが、一部アイコンの意味が分かりにくく、マニュアルを参照しなければ解決できない設定もあった。

メニューは、コンパクトデジカメの構想によく似ている

 フォーカスモードは、顔認識、23点、1点から選択できる。人物中心の記念撮影的使い方なら顔認識、その他の撮影なら23点でほぼ大丈夫だ。フォーカスのスピードもまずまず。ただし1点AFモードでは、任意の場所にフォーカスエリアが設定できるという大きな利点はあるものの、撮影中頻繁にフォーカスポイントを動かしながら使うには不向き。設定の自由度が高すぎて、ポイントの移動に時間がかかりすぎるからだ。

1/80 F6.3 Ev+0.0 36mm ISO 200 GH1・LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
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 とても使いやすく感じたのは露出補正だ。シャッターの前にある「前ダイヤル」を押すと補正モードに入り、ダイヤルをまわすとすぐに補正幅を調整できる。逆光での撮影時や、極端に白っぽいもの、黒っぽいもののなどの撮影には不可欠。場合によっては頻繁に補正をしながら撮影をしなければならないこともある。そんなときでも、素早く補正できる。

シャッターボタンのすぐ下にある「前ダイヤル」だけで露出補正の操作ができる

 さらに、露出関連の機能で優れているのはオートブラケット。連写モードなどを切り替える「ドライブモードレバー」でオートブラケットモードが選択でき、非常に使いやすい。オートブラケットとは、写真の明るさを自動的に変化させながら撮影する機能。ほんの少し露出を変えただけでも、写真の雰囲気が大きく変わったり、色の深みに影響したりする。例えば露出を0.3段刻みでずらして何カットか撮影し、実際の色に近いカットを選んだりすることもできる。オートブラケット機能を持つカメラは珍しくないが、専用のボタンやレバーで設定できるモデルは、実は少ない。

右側のON/OFFレバーの上にドライブモードレバーがある。上から3番目がオートブラケットモードだ

 高感度特性については、常用感度はほぼISO 800まで。このあたりまでなら、ノイズの少ないキレイな写真が撮れる。ISO 1600になると、若干ノイズが増えてくるが、画質は安定している。少し粗くなることを覚悟すれば、許容できる範囲だ。ISO 3200になるとカラーバランスも崩れ始め常用できる画質ではなくなる。あくまでも非常用と考えるべきだろう。オートホワイトバランスは安定しており、破綻が少なく安心して撮影できる。発色については、やや派手目だが、自然な色合い。もう少しおとなしい発色を求めるなら、フィルムモードなどで調整も可能だ。

1/800 F6.3 Ev+0.3 14mm ISO 200 GH1・LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
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「小型・軽量」という「機能」



 最後に、小型・軽量ということについて、少し触れておきたい。マイクロフォーサーズは、デジタル一眼の小型化を目指してつくられた規格だ。一眼レフならではのミラーとプリズムを省くことで、フランジバックと呼ばれる、レンズのボディ側の端から撮像素子面までの距離を約20mmと従来のデジタル一眼レフの約半分にした。これによって、非常に小型・軽量のデジタル一眼が誕生することになったわけだ。

フランジバックが短いため、レンズをはずすとすぐに撮像素子が見える

 GH1と小型のズームレンズ「LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.」の組み合わせでは、重さは約580gにすぎない。通常のデジタル一眼ではボディのみでも500-900gもあり、ファインダーつきの一眼として、軽さという点ではGH1はズバ抜けている。軽いということだけで考えれば、100g台が多いコンパクトデジカメを使うという選択肢もあるが、やはり画質が一眼には劣る。高画質の写真を小さなペットボトルほどの重さしかないカメラでモノにできるかもしれないというメリットは、大変大きい。いくつかの欠点を補って余りあるメリットがあると思う。

1/100 F6.3 Ev+0.3 45mm ISO 200 GH1・LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
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 特に、普段使いでシャッターチャンスを探しながらぶらぶら散歩するような使い方には小型・軽量という恩恵は大きい。むき出してカメラを下げていてもあまり邪魔にもならず、気になる被写体を見つけたら躊躇なく構えることができ、しかもあまり大げさな感じもしない。大きなカメラを「どっこいしょ」と取り出すのではなく、「スッ」と構えてすぐ撮れる。これはつまり、実質的なシャッターチャンスが増えることにほかならない。動画も含め日常の作品をモノにできそうなカメラ、それがGH1だと感じた。(BCN・道越一郎)

1/200 F6.3 Ev-0.3 22mm ISO 200 GH1・LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
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