このところ、PCでテレビ番組を録画して楽しむ人が増えてきている。そんな中、東芝が7月に発売したノートPC「Qosmio G50」はAVコンテンツの視聴にこだわったユニークな機能を搭載している。それが、録画した番組を出演者の顔でシーン分けする「顔deナビ」と、手の動きだけで音楽や映像の選択・再生ができる「ハンドジェスチャーリモコン」。ノートPCの新しい流れも感じさせるこの2つの機能を中心に使い勝手を検証した。

●「AVノートPC」というからにはワケがある

 ブルーレイディスクドライブや高音質スピーカを搭載したり、フルハイビジョン(フルHD)表示に対応したりと、AV視聴用にさまざまな機能を搭載した通称「AVノートPC」は多い。さらに、4月にPC用地デジチューナーの販売が解禁されたこともあり、「PCで地デジ」というスタイルもより一般化するだろう。メーカー製PCでも、今後は視聴機能の工夫が施され、各社が付加価値をアピールしてくるかもしれない。

 そんなAVノートPC市場で、東芝が発売した「Qosmio G50/97G」はいち早く独自のAV視聴機能を取り入れた製品。地上デジチューナーを2基搭載し、標準で地デジ用の視聴アンテナも付属。買ったその日から地デジ視聴が楽しめる。ディスプレイのサイズは比率16:9の18.4インチワイドで、フルHD表示にも対応し、高精細なTV映像を画面いっぱいに表示できるのがウリだ。

 そして、通常のPCと大きく異なる点は、CPUやGPUに加えて、画像処理専用エンジン「Spurs Engine(スパーズエンジン)」を搭載していること。データ量の多いハイビジョン映像の処理を「Spurs Engine」が専門に受け持つことで、快適なPC作業環境を実現したという。そして、今回レビューするのがこの「Spurs Engine」の機能のうち、録画した番組の出演者一覧を作成できる「顔deナビ」と、手の動きだけでマウスのカーソルやクリック操作ができる「ハンドジェスチャリモコン」の2つだ。

●顔でシーンを選ぶ「顔deナビ」

 「顔deナビ」機能は、簡単に言えば、録画した番組で、出演者の顔だけを取り出して表にする、というもの。お目当ての出演者が出ているシーンをクリックし、そこから番組を再生することができる。そのため、番組単位ではなく、番組の中のシーン単位で楽しむことができるわけだ。また、場面ごとの歓声から音声レベルを表示できるので、そこから番組中で盛り上がったシーンを選択することも可能だ。

 そのほか、録画した内容を一定時間ごとにキャプチャして表示することもでき、見たいシーンを簡単に検索したりもできてしまう。このように目当ての人物やシーンを探す時にとても便利な機能で、お気に入りの出演者のシーンしか見たくないという人や、盛り上がったシーンだけ見られればいいという時間がない人に向いているだろう。

 さて、それでは実際に「顔deナビ」を使用してみよう。ということで、まずは番組を録画する必要がある。今回はサンプルとして、出演者が多そうな某お笑い番組を選択した。録画後、早速本体を起動し、「顔deナビ」機能を立ち上げてみる。すると顔ばかりが出るわ出るわ――あっという間に画面いっぱいに出演者たちの顔が並んだ。

 この一覧の中から、出演者の顔をクリックすれば、自動的にそのシーンから番組が再生される。音声レベルやキャプチャ表示に関しても同様で、クリックしてからの待ち時間もほとんどなく、ストレスを感じずに視聴できた。また、今回録画した番組は、芸人が入れ替わり立ち代わりネタを披露していくタイプで、「顔deナビ」との相性が非常によく、お気に入りの芸人の登場シーンだけを選択して視聴することが可能だった。

 反面、画面に映る人物が少ない番組には弱い。今回、ついでだからとボクシングの試合も録画しておいたのだが、こちらはメインで映るのは当たり前だが対戦している2人。顔だけではなんともシーンの判断がつきづらかった。しかし、そういった番組では、前述の音声レベルの表示とシーンキャプチャが使える。盛り上がっている時間帯を探し、キャプチャ画面とあわせてシーン選択すると、際どい攻防の場面が表示された。この3種類の表示機能、相互に補完して使えば、かなり思い通りの場面を表示できるだろう。

 この機能は地上デジタル放送の番組以外に、「Windows Media Center」内のビデオファイルや、ビデオカメラから読み込んだ映像にも有効。さまざまなシーンで利用できる。ただし、この「顔deナビ」機能、顔データの作成に際して、1時間の番組を録画した場合でおよそ500MBのHDD容量が必要になる。録画するすべての番組で顔データを作成していくと、それだけでかなりHDDを圧迫してしまいそうな印象を受けるので、注意が必要かもしれない。

●手振りでPCをコントロールする「ハンドジェスチャリモコン」

 さて、もう1つのユニークな機能が、Webカメラと連携した「ハンドジェスチャリモコン」。「グー」や「パー」など、簡単な手の動きだけで、動画系アプリケーションの再生/停止などの操作が可能で、リモコンやマウスを持たずに操作ができるという何やらすごそうな機能だ。

 何はともあれ実際に試してみよう。画面右のサイドバーに表示されているウィジェットから「ハンドジェスチャリモコン」を有効にし、左右どちらの手を検出するか設定すればすぐに使える。液晶モニタの上部にある131万画素のWebカメラがユーザーの手とその形を認識し、さまざまな操作に対応する。

 基本的な操作はそれほど多くない。まず「グー」がカーソル操作時の手の形。そのまま動かすと、画面上のカーソルを操作できる。そして、「グー」の状態から親指をたてると決定、つまりマウスのクリック操作になる。また、動画や音楽の再生中に「パー」の形を作ると、一時停止だ。「ハンドジェスチャリモコン」での操作を一時的にやめたい時も同様に「パー」を出せばよい。

 ということで、早速「グー」を作ってのカーソル操作にチャレンジ。実際に手を動かしてセンサーの感度を試したところ、かなり正確かつなめらかに動作してくれた。下の動画がその時の様子だ。



 画面に手が近づきすぎると手が検出されにくくなる傾向がある。上記の動画では、撮影の都合上かなり近づいた位置から操作をしているが、実際に筆者が使用した感覚としては、Webカメラから最低でも1m程度は離れた方が、手が検出されやすく、また操作自体もスムーズに行えるという印象を受けた。続いて動画の再生、一時停止を行ってみた動画が下だ。



 少々レスポンスが遅い部分もあったが、これは上述のように手が画面に近すぎたためだと考えられる。このように、カーソル操作から、選択・クリックまでジェスチャーだけで操作でき、さながら手にワイヤレスのマウスを持って操作している感覚を覚えた。最初のうちは距離感の把握に戸惑うかもしれないが、慣れてくるとなかなか素早く操作できるようになってきた。

 この「ハンドジェスチャリモコン」、机について目の前でPCを操作する、という時にはあまり活用する機会はないだろう。ただ、たとえば手が濡れている時や、お菓子を食べながら地デジを見ている時、PCを汚すことなく気軽にチャンネル変更や一時停止といった操作ができるので、いちいち手を拭く手間がいらないのは便利だろう。

 HDMI端子経由で薄型テレビに接続し、HDDに録画しておいた番組を大画面で楽しむ際にも利用できる。テレビの前に陣取りながら、手元にPCを持ってくる必要なく、ジェスチャーで操作する、といった楽しみ方もできるかもしれない。

 今回試した2つの機能は、今はあまりなじみがないかもしれないが、AVノートPCが進化する方向を示すよい例ではないだろうか。実際に使ってみても確かに便利だし、いろいろな活用方法が考えられる。「Qosmio G50」はユーザーのAV視聴のスタイルを広げるノートPCと言えそうだ。(BCN・山田五大)