【記者のひとこと】過去最大級の買収

コラム

2022/05/31 10:00

 半導体企業のブロードコムが610億ドル(7兆7500億円)を投じて、ヴイエムウェアを買収するというニュースが飛び込んできました。通信事業者を除くIT企業の買収としては、かつてデルがEMCを買収した際の670億ドルに次ぐビッグディールです。ソフトウェア企業のM&Aとしてみても、今年発表されたマイクロソフトによるゲーム会社アクティビジョン・ブリザード買収の687億ドルに迫る勢い。もちろん企業向けソフトウェアベンダーの買収としては過去最高額です。

 デル・テクノロジーズのマイケル・デルCEOは、2015年にEMCを買収したことで、同社傘下だったヴイエムウェアの筆頭株主となっていました。デルCEOはEMC買収時の負債を解消するためヴイエムウェア株売却のタイミングを見計らっていたとみられますが、ソフトウェア事業の拡大に舵を切ったブロードコムが、市場価格を大きく上回る金額で名乗りを上げたことで、業界地図が大きく塗り替えられようとしています。

 ブロードコムは既に買収したCAテクノロジーズやシマンテックの資産とブイエムウェアの製品を組み合わせ、ソフトウェア事業をより収益性の高いものにしていくとしています。ただ、買収劇の主役であるブロードコムのホック・タンCEOはコストカッターとして知られ、研究開発、マーケティング、サポートなどにこれまで通りのリソースが投入されるかは未知数。ヴイエムウェアの行き先が注目されます。(日高 彰)

【記事はこちら】
ブロードコム、ヴイエムウェアを7兆7500億円で買収へ