【記者のひとこと】“謎のデータ分析企業”が日本上陸

コラム

2019/11/25 10:00

 米国のデータ分析企業・パランティアテクノロジーズが、保険大手のSOMPOホールディングスと合弁で日本法人を立ち上げました。ほとんどの人にはなじみのない企業と思われますが、それもそのはず、パランティアの主要顧客は米国の政府機関で、FBIやCIA、軍などが同社のデータ分析技術を活用して、マネーロンダリングやテロリストの活動を発見しているといわれています。近年は事業範囲を民間セクターにも広げ、金融取引での不正検出や、大手製造業において出荷後の製品の稼働分析などにも用いられているといいます。

 パランティアの創業者の一人が、ペイバルを立ち上げた起業家で、初期のフェイスブックに資金を提供した天才投資家でもあるピーター・ティール氏。リベラルな経営者が多いテック業界では珍しく、トランプ大統領への支持を公然と表明するなど、独特のキャラクターで知られます。

 日本市場での展開については「高齢化で欧米の先を行く日本で、テクノロジーによって社会問題の解決を図りたい」などとコメントするにとどめ、具体的にどのような戦略で収益を得ていくのかはまだ謎に包まれています。公共安全の分野の実績を生かし、データ分析による安全で公正な社会と、プライバシーの尊重が両立した形で実現されることを期待します。(日高彰)

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