AIを業務で利用する際のコストというと、どのようなものが思い浮かべられるでしょうか。ディープラーニングの学習フェーズを実施するためのGPU搭載サーバーや、AIエンジンを提供するクラウドサービスの使用料、学習に用いるデータの調達・加工費用といったものが考えられますが、長期にわたって運用することを考えると、「再学習」のコストに目を向けるべきのようです。

 ある学習データから構築したAIモデルが高い予測精度を実現できたとしても、運用期間の間に市場の状況や業務の環境が変わると、次第に精度が劣化していきます。これを放置して、AIの答えに含まれる「ハズレ」が増えてしまうと損害が拡大するため、最新のデータを用いて再学習する必要がありますが、精度のチェックおよび再学習の作業には、膨大なデータ一つ一つに対して専門家の手作業が発生するため、非常に高コストとなります。

 富士通研究所が開発した新技術は、入力データの傾向の変化を把握することで、最新時点でのAIの精度を把握し、再学習を行わなくても信頼性を維持できるよう精度劣化を自動修復できるといいます。長期にわたって高い予測精度を保てれば、再学習の頻度を抑えられるので、信頼性を高めると同時に運用コストを下げられます。AI導入のトータルコストを算出するのは容易ではありませんが、一度良い結果が得られて喜ぶのではなく、いつか再学習が必要になることをお忘れなく。(日高彰)

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