【記者のひとこと】リスクと利益をシェアするDXモデルへ

コラム

2019/09/26 10:00

 SIerは、納入したシステムを「事例」として公開することが少なくありません。実績になりますし、納入先が有名企業であればなおさらです。とはいえ、DX絡みの案件では成功可能性の予測が難しく、失敗もあり得ますので、事例化に踏み切るのは一考する余地がありそうです。

 あいおいニッセイ同和損害保険の「テレマティクス自動車保険」では、「損保業界初」の先進的で難易度の高いDX案件であるにもかかわらず、関わった大手SIerなど7社と共同で説明会を開催。この先、万が一、サービスに不具合が起こるようなことがあれば、どのベンダーがどの部分を担当したのかが一目瞭然となります。

 あるSIer幹部は、「参加したSIerは、ユーザー企業と失敗のリスクもシェアする覚悟が出来ている現れ」だといいます。従来のSIが「発注者と受注者」の関係だったとすれば、DXは共同事業者、またはユーザー企業との運命共同体の側面が強まる見込みです。

 今後は、リスクだけでなく、利益もシェアするモデルへ近づき、DXの成功によってSIerがより大きな利益が得られる収益モデルへと変わっていくことが期待されています。(安藤章司)

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