【記者のひとこと】歓声の上がるタイミング

コラム

2019/05/27 10:00

 米国で開催されるITイベントでは、基調講演などで大歓声が上がるタイミングがしばしば訪れます。アップルの発表会では、新製品がお披露目されるとスタンディングオベーションが沸き起こることも珍しくありませんでしたし、最近ではAWSの年次イベント「re:Invent」で、多数の新機能がアナウンスされるその度に、聴衆の開発者が大盛り上がりになる様子が知られています。

 ただ個人的には、そのような場面に遭遇する度、「雰囲気に流されず冷静に観察すべきだ」といった変な真面目さが頭をもたげてしまい、一緒になってノリきることができません。いや、本当はそんな大それたことは考えておらず、単に内気な日本人であるだけなのですが……。

 しかし、今月参加したレッドハットのイベントで、IBMのジニー・ロメッティ会長が「レッドハットの独立性は守る。オープンソースはイノベーションに欠かせないエコシステムだ」と発言し、聴衆がひときわ大きな歓声を上げたときばかりは、私も一緒になって気持ちが高揚しました。レッドハット買収の目的は、製品や技術を手に入れるためではなく、IBMをクラウド時代に適合したイノベーションカンパニーに変革するため。だから、レッドハットを“ブルー”に染めるはずはない――というメッセージは、イベント中に発表されたどんな新製品よりも、来場者の心に響いていたようです。(日高彰)

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