「情報通信産業」「ICT」といった表現があるように、IT業界と通信業界はひとまとめにして語られることが多いわけですが、非常に密接な関係をもっていると同時に、その間には深い谷があるのもこれら二つの業界の特徴でした。インターネットプロトコルの普及でオフィスの電話はIP-PBXが当たり前になり、スマートフォンの登場でコミュニケーション機能と業務アプリケーションが同一端末上に統合されるといった動きはありましたが、インターネットやクラウドの世界と、「キャリアグレード」が求められる電話回線は、根本的に異なる技術やアーキテクチャーで支えられていました。

 しかし、この秋に第4の携帯キャリアとなる楽天が、先週スペイン・バルセロナで開催された展示会「MWC」で披露したネットワークインフラは、クラウド基盤の上に携帯電話網に必要な機能をソフトウェアで実装していくというもの。キャリア向けの専用ハードウェアを用いるよりも圧倒的に低コストで4G/5Gのインフラを構築・運用可能で、要件の変更や機能の追加も柔軟に行えるということです。

 MWC会場で楽天が開催した説明会でも、聞こえてくるのは「OpenStack」「Ansible」といったプライベートクラウドの世界で標準的なオープンソースの技術や、「アジャイル」「CI/CD」といった、デジタル変革で定番のキーワードばかり。通信の展示会で、ここまで多くの“IT語”を耳にするとは思いませんでした。ITと通信の間にあった壁や谷が、ここへきてついに崩壊しつつあるようです。(日高彰)

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