写真を撮影する時、最近ではデジタルカメラを使うのが当たり前。では、近頃、インターネットの動画投稿サイトなどが人気を集めており、誰もが気軽に動画撮影する機会も増えている動画の撮影は? きっとデジタルビデオカメラで録画している人が多いに違いない。あるいは、ケータイのムービー機能を利用する人もいるかもしれない。さて、ここで忘れてはいないだろうか? いまやデジタルカメラでも、本家デジタルビデオカメラに負けないくらいの動画撮影が可能なのだ。

●「写真、ときどき動画」なら、コンパクトデジカメが一番

 デジカメさえ持っていれば「ビデオカメラを持って来なかったから、動画撮影は無理だ」と諦めたり、「ケータイで録画しておけばいいか」と妥協したりする必要はまったくない。最近では、ほとんどのデジタルカメラに、動画撮影機能が搭載され、ケータイで録画するよりも、はるかに鮮明でなめらかな動画が撮影できる。なかにはハイビジョン(HD)画質で動画撮影ができるモデルもあるので、デジタルビデオカメラで録画するのと同等以上のムービー作品だって作れてしまうのだ。

 一般に、デジカメとデジタルビデオカメラでは、搭載するCCDの画素の形が違う。静止画撮影が基本のデジカメのCCDの画素は、画像の縦横比を補正する必要がない正方形をしているのに対し、デジタルビデオカメラのCCDの画素は、解像度をアップするために、長方形をしている。デジタルビデオカメラが動画撮影に特化する一方、デジカメは静止画撮影機能を磨きながら、動画撮影機能も進化させてきたのである。「ふだんは写真撮影が主で、ときどきムービーも撮りたい」派には、デジカメがうってつけということになる。

●デジカメ、ビデオ、ケータイの動画記録方式の違いとは?

 デジカメで撮影する写真の記録には、一部の高級コンパクトデジカメやデジタル一眼レフカメラを除いて、メーカーを問わずJPEGという方式が採用されている。では、動画の記録方式については、どうなのだろう?

 従来、デジタル機器での動画の記録方式には大きく、MPEG-1からMPEG-4までの4つの方式があった。しかし、近年ではHD録画が主流になり、大容量の映像を、コンパクトに圧縮して記録するための方式が求められるようになり、MPEG-4を拡張した「MPEG-4 AVC/H.264」が登場している。PCへの取り込み・加工が容易で、ネット上でのファイルのやりとり、動画共有サイトへやブログなどへの投稿と、さまざまな場面で利用しやすいことから、最近のデジカメでは、動画撮影方式として採用するケースが増えている。

 なお、デジカメの動画記録方式にはもうひとつ、「Motion-JPEG」というものもある。映像を圧縮し、連続して記録することで動画にする方法で、高画質・長時間の動画記録にはあまり向いていないが、編集がしやすく、動画から静止画を取り出したときの画質に優れる動画記録方式である。

 一方、HD撮影が可能なデジタルビデオカメラでは、動画記録方式に「MPEG-4 AVC/H.264(AVCHD)」を採用する機種が多い。「AVCHD」というのは、HD動画のための記録方式で、デジタルビデオカメラでDVDやHDDなどに直接、HD映像を録画するための規格。ただ、この方式で記録したDVDは、AVCHD対応のDVDプレーヤーでないと再生ができない。

 こう考えると、デジカメのMPEG-4 AVC/H.264という規格の動画は、PCやネットワーク上でもっとも扱いやすい記録方式ということが言えるだろう。

●3つのカメラで、実際に動画を撮影してみた

 そこで、実際にデジカメでの動画撮影を体験してみた。使用したのは、記録方式にMPEG-4 AVC/H.264を採用し、フルHD撮影が可能な三洋電機の「Xacti DMX-HD1010」、同じくMPEG-4 AVC/H.264方式で、撮影した動画を簡単に、動画共有サービス「YouTube」で公開することができるカシオの「EXLIM EX-Z200」、そして、記録方式にMotion-JPEGを採用し、液晶画面をタッチして操作可能な松下の「LUMIX DMC-FX500」の3機種である。それぞれの使用感を簡単に述べながら、実際に撮影した動画をご覧いただくことにしよう。

●フルハイビジョンで動画が撮れるデジタルムービーカメラ
三洋電機「Xacti DMX-HD1010」

 最大の特徴は、何と言っても、フルHD画質で録画できる点。デジカメと違いタテ型なので、動画撮影しやすいポジションがとれ、使い心地は良好だ。光学10倍ズーム搭載で、ムービー撮影時の「顔検出追尾」と「手ブレ補正」機能も搭載する。また、フルHD画質のムービー撮影中でも、ムービーの撮影を中断することなく、約200万画素の静止画撮影ができるというスグレモノだ。

 「Xacti DMX-HD1010」には、HDMI端子を備えたドッキングステーションが同梱されているほか、専用D端子接続ケーブル、専用S-AV接続ケーブル、専用USB接続&変換ケーブル、リモコン、ソフトケースなどなど、付属品はかなりのボリュームがある。撮影した動画の編集用にPCでフルハイビジョンの再生・編集・DVD作成ができる動画編集ソフト「Nero 8 Essentials」など付属ソフトも充実している。


●「YouTube」への動画のアップロードがとっても簡単
カシオ「EXLIM EX-Z200」

 有効画素数1,010万画素のデジカメで、広角28mmからの光学3倍ズームを搭載する。任意の撮影シーンを選べば、それに合わせてカメラが最適な撮影設定を行ってくれる「ベストショット」機能を搭載し、全部で39ものシーンから選択できるのだが、その中に動画共有サイト「YouTube」で公開するのに最適な動画撮影ができる「YouTubeキャプチャーモード」が用意されているのが特徴。

 また、撮影した動画を「YouTube」へ簡単にアップロードすることができるソフト「YouTube Uploader for CASIO」が付属している。本体をUSBケーブルでPCと接続し、公開したい動画を選び、アップロードボタンをクリックするだけで、PCであれこれ加工せずに、直接「YouTube」にアップロードできる。事前に「YouTube」側で動画投稿のユーザー設定を行っておく必要はあるが、手間がかかならくて便利だ。



●新感覚のタッチパネル操作でデジカメの使い方が変わる
松下「LUMIX DMC-FX500」

 「LUMIX DMC-FX500」の最大の特徴は、3.0型の大型液晶モニタをタッチすることで、各種設定や機能の選択ができるところ。例えば、モニタ上で選んだ被写体にタッチするだけで、カメラが自動的に、そこにピントと露出をしっかりと合わせてくれる。シャッター速度や絞り値といった設定も、人差し指1本で可能という操作性は、デジカメの扱い方を大きく変えたと言ってもいい。新感覚のインターフェースを採用した、なかり革新的なデジカメなのである。

 さて、肝心の動画撮影だが、「LUMIX DMC-FX500」は動画記録方式にMotion-JPEGを採用している。最大でHD画質の動画撮影が可能だが、同じくHD画質で撮影した動画で「Xacti DMX-HD1010」と見比べてみると、再生画像のスムーズさでは、MPEG-4 AVC/H.264方式の「Xacti DMX-HD1010」のほうがやや上のように感じられた。ただ、静止画撮影では、画質も含めて「LUMIX DMC-FX500」のほうがすぐれている印象を受けたので、ふだんは写真中心の使い方で、ある場面ではハイビジョンで動画も録っておきたい、という人には「LUMIX DMC-FX500」のほうがおすすめと言える。


 最近は、動画投稿サイトに人気が集まっており、やはり自分でも手軽にきれいな動画を撮影してみたいという人も多いのではないだろうか。動画撮影はデジタルビデオカメラがいい、あるいは携帯電話のムービー機能が進歩してきたので、そちらで十分という人もいるだろう。しかし、デジタルビデオカメラより持ち運びが楽で、ケータイよりも画質がいいコンパクトデジカメを見逃す手はない。今度の週末は、デジカメ動画撮影にチャレンジみてはどうだろう。(フリーライター・中村光宏)