もうすぐ終わるADSL、ネット難民になる前に慌てて光に乗り換えた

レビュー

2021/09/12 18:30

 えらいこっちゃ。インターネットのプロバイダーから9月いっぱいでサービスを終了するとの知らせが届いた。現在使っているADSL接続サービスを終わらせるというのだ。NTTのフレッツ・ADSLは2023年1月末まで継続すると聞いていた。まだ時間の猶予があると思っていたので慌てた。プロバイダー側で先んじてサービスを終了させることにしたらしい。2000年の5月、ADSLサービスそのものが始まるのとほぼ同時に現在のADSL回線を利用し始めた。以来丸21年と3か月。ついにネット回線の乗り換えを迫られることになった。

ADSLサービス終了で光回線に乗り換えることに

 アナログの電話回線をネット接続回線にも流用するADSL。この画期的な技術のおかげで、だれもが安価にネットに常時接続できるようになった。インターネットの普及の原動力だ。それをずっと使い続けてきた。最初はダウンロードスピードが8Mbpsのコースだったと記憶している。最終的には50MBpsコースまで高速化した。実際は10Mbps程度のスピードしか出なかったが、YouTubeなどの動画視聴も含めほとんどストレスなく楽しめていた。その上利用料は月額2700円程度と安かった。「光回線を引くことになった」と話すと「いまさら?」と言われることも多い。乗り換える理由がなかったわけだからしょうがない。「無事動いているものはできるだけ触らない」精神のもと、だましだまし使ってきたという感じだ。

 自宅のネット回線は基本、娯楽のためのもの。用途はWebサイトの閲覧とメールやチャットのやり取り、ストリーミング動画の視聴程度しかない。時々動画が止まったりすることもあったが、大きな問題はなかった。しかし、コロナ禍で状況が変わった。テレワークの頻度が高まるとネット環境は仕事に必須のインフラ。大きなファイルをダウンロードしたり会議に使ったりすることも多く、回線速度の重要性が増す。オンライン会議では音声と動画を相手に送らなければならない。ADSLはアップロードがとても遅いという欠点がある。実際、アップロードのスピードは1Mbps程度しか出ておらず、会議では音質や画質の劣化が起きていた。

 そこへ、ADSLのサービス終了となれば、もう乗り換えざるを得ない。モバイル通信網を使うホームルーターなどの選択肢もあるが、回線の品質を考えれば乗り換え先は光回線一択だ。だが、今住んでいるマンションは光回線が普及するずっと前に建てられたもの。各部屋には光ファイバーケーブルが配線されていない状態だ。光回線を使うには、光ファイバーケーブルを物理的に部屋まで引き込む必要がある。工事は業者に依頼するわけだが、そのためには、物置状態になっている電話線の引き込み口周辺を片付けなければならない。正直、それが億劫で今まで先延ばしにしてきた、ということもある。
 
ADSLで10mbps程度だった回線が、
光回線にしてfast.com測定値が300Mbps程度は出るようになった

 プロバイダーの選択は面倒極まりなかったが、キャッシュバックの額とモバイル回線との併用で若干の割引があることから、現在モバイル回線を利用しているプロバイダーに決定。速度は最大1Gbpsのごく標準的なプランだ。9月初旬に工事することになった。幸い、マンションまでは光回線が来ている。線の引き込みは共用部分から部屋までだ。電話線などが通っている管に新たに光ファイバーケーブルを通す。まず部屋の引き込み口に、通線ワイヤーと呼ばれる長いワイヤーを突っ込んで、マンションの共用部分まで通す。ワイヤーが共用部分に顔を出したら、先端に光ファイバーケーブルをひっかけて、部屋に戻ってワイヤーを引き抜けば、光ファイバーケーブルが引き込める。線さえ通ればこっちのもの。光回線の終端装置(ONU)を介して、Wi-Fiルーターを接続し、乗り換え完了だ。

 今回はONUの設置までは業者に依頼し、あとは自分でやることにした。ところが、Wi-Fiルーターがつながらない。正確にはWi-Fiルーターに有線接続した機器にはネットがつながるものの、Wi-Fiではネットが利用できない。どう設定を変えてもだめだ。調査の結果、使用中のWi-FiルーターはIPv6に非対応であることが判明した。IPv6とは、ネットワークアドレス管理の新しい方法。現在多くのプロバイダーで採用しており、回線速度が速くなるなどのメリットがある。しょうがないので、IPv6対応のプロバイダー推奨Wi-Fiルーターに素直に買い替えた。その結果、ONUとLANケーブルで接続するだけで何事もなかったかのように普通につながった。自宅内の有線LANについても、ケーブルとHUBが上限100Mbpsの古い製品だったので、すべてギガビット対応製品に刷新した。PCのUSB端子に有線LANを接続するアダプターもギガビット対応製品に買い替えた。

 ネットワーク設定は奥が深い。生半可な知識しかない素人がはまると抜け出すのにものすごく苦労する。さんざん苦労してきた経験があり、できるだけ触りたくない部分だ。今回、Wi-Fiルーターでつまずいたが、推奨製品に置き換えることであっさり解決。事なきを得た。線の引き込みにやや手間取り、回線工事の時間はほぼ1時間。その後の機器の置き換えや設定でおよそ6時間。fast.comでの計測では、ダウンロード・アップロードともに200Mbps~300Mbps程度。とりあえず乗り換えに成功したようだ。徐々に終わっていくADSL回線。余命は残りわずかだ。まだ使っているなら、早めに乗り換えることをお勧めする。(BCN・道越一郎)