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【家電レンタル特集】販売以外の家電流通経路、家電レンタルが選ばれるわけ

インタビュー

2017/05/09 10:03

 家電製品のレンタル事業は、一般的な家電量販店での販売とは異なる、もう一つの家電流通経路として注目されている。現在、家電製品を量販店やインターネットで購入する消費者の方が圧倒的に多いが、家電レンタルはどのような時に利用されるのだろうか。今回は、家電レンタル市場の需要と実態を探るため、幅広いレンタル商品を持つ「DMM.com いろいろレンタル」に、話を聞いた。


BCNの取材に応じたDMM.comラボレンタル事業部の宮前英明事業部長

 「DMM.com いろいろレンタル」は、2010年に立ち上がった。その後、有名ブランドバッグなどのファッション系アイテムのレンタルを始め、現在では家電製品を含む約4100点以上に及ぶ幅広いアイテムを取り扱う。ユーザーがインターネットで予約すると、商品が自宅まで宅配される仕組みを採っている。月額料金も必要なく、好きなときにスポットでレンタルできる手軽さが受けて、これまでに10万人以上が利用し、総レンタル件数は15万件を突破している。

 DMM.comラボレンタル事業部の宮前英明事業部長は「法人向けに敷地の雑草を手入れするヤギから、見守りロボットまで、幅広いレンタル商材がある」と紹介する。
 

法人向けにヤギレンタルも取り扱う

「家電レンタル」の二つのニーズ

 いったい、どのようなユーザーが家電をレンタルするのだろうか。宮前事業部長は大きく二つのニーズがあると分析する。「一つは必要な決まった期間でレンタルする通常のニーズ。もう一つが、家電の購入を検討するために実機をレンタルするニーズだ」という。

 前者のニーズでは例えば、旅行に行く際にスーツケースとカメラを一緒に借りたり、ホームパーティーのためにプロジェクターを借りたりするものがある。日常的ではない特別なイベントを楽しんだり、盛り上げるために、スポットで家電をレンタルするニーズだ。こちらは、レンタルした方が購入するより安価で済むという、映画のDVDソフトや音楽のCDソフトのレンタルと同じ、馴染みある需要と言える。

 注目したいのが、後者の購入検討材料としてのレンタルニーズだ。宮前事業部長が「家電量販店の店頭などで実際に家電に触れる機会はあるが、サイズ感や運転音、操作性など、自分の家で実際に使ってみないとわからないこともある」と話すように、SNSでの評判や、カタログに記載してある情報だけでは伝わらない、「実際の体感」から得られるメリットは大きい。

 レンタル商材は、消費者にとって「購入は難しいけど使ってみたいもの」を中心に選んでいるので、そのまま購入につながるケースもある。最近の分かりやすい例として「VR機器などの、話題にはなっているが少し高額な商品を、購入する前に試しに使ってみたいという人が増えている」と付け加える。

 また、家電レンタルに注目するメーカーも現れている。家電の使用感や満足、不満など、ユーザーからのフィードバックは改善点の早期発見にもつながるので、期待を寄せているようだ。(BCN・南雲 亮平)